オーガニック・ソウルを志向する女性たち
いまや死語とまで言われる〈ニュー・クラシック・ソウル〉という言葉だが、ジル・スコットの登場以降、最近はそんな70'sライクかつジャジーなR&Bを一部では〈オーガニック・ソウル〉と呼んでいる。で、その源流を辿ると、ミシェル・ンデゲオチェロらが93年ごろからやっていた……など諸説あるが、いま思えば、ネオ・クラシカルな新作『Mahogany Soul』を出したばかりのアンジー・ストーンが以前在籍していたヴァーティカル・ホールド、彼らの『Head First』(95年)がその先鞭作と言えるかもしれない。というのも、同作収録の“Pray”ではデビュー前のディアンジェロが歌&ピアノで客演するなど、現在のオーガニック・ソウルに繋がるスタイルが見て取れるからだ。しかも同作を陰で支えていたのは現モータウン社長のキダー・マッセンバーグ。のちに彼のもとからはエリカ・バドゥを筆頭に、グレニークやインディア・アリーらレトロな装いの才女がデビューしている。そのほか、エイドリアナ・エヴァンスやローネイ、ダヴィーナ、チェロキー、アメール・ラリューといった女性の登場(独立)もシーンを賑わせ、2000年はジル・スコットが大ヒット。その影響を受けてか、最近ではレディシをはじめ、エリカの諸作でバック・シンガーを務めていたエンダンビやヤーザラー、カレン・バーノッドといったインディー発の女性シンガーの作品にまで急激に光が当たり始めている。水面下にはこうした予備軍がまだゴロゴロしているわけで、気付いたら彼女たちがエリカやジル級の大物に……なんてことも今後は起こりうるかもしれない。
エンダンビの98年作『Little Lost Girls Blues』(Cheeky-i)
ヤーザラーの2001年作『Hear Me』(Keo)
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