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特集

シンガー・ソングライターたちが垣間見せてくれるNYの横顔

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2001年11月15日 15:00

更新: 2003年04月02日 14:44

ソース: 『bounce』 223号(2001/7/25)

文/村尾 泰郎

いまだNYという街を訪れたことがない者にとって、映画や小説、そして音楽こそがかけがえのない地図の役割を果たしてくれる。そしてローラ・ニーロの詩/歌は間違いなく、どんなガイドブックよりも、NYという街の横顔、体温、そこに吹く風のようなものまで伝えてくれるものだ。

たとえば『Eli And The Thirteenth Confession』の乾いたサウンド・プロダクションと、力強いリズム、そしてローラの陰影をともなった歌声を聴いていると、映画「真夜中のカウボーイ」でラッツォとジョーが、NYの街角を身を寄せ合うように歩いているシーンを思い出す。そのテーマ曲“Everybody's Talkin'”はニルソンが歌ってヒットしたが、オリジナル作者でありNYフォーク・シーンの顔役、フレッド・ニールが歌うと、都会の夜、その蠢きをいっそう感じさせた。またローラの1年後、彼女と同じくヴァーヴからデビューし、さらにリアルな都会の暗闇を描いたのがヴェルヴェット・アンダーグラウンド。ルー・リードはソロ以降も“Walk On The Wildside”に代表される、深い絶望、欲望が渦巻く都会の底辺に暮らす人々について歌い続けた。そしてローラとルーがそんな人々に題材を求める一方で、サイモン&ガーファンクルは、組曲風のアルバム『Bookend』でNYに住む中流階級の人々を描き、時代のなかで揺れ動く〈アメリカ〉の姿を浮かび上がらせようとした。


フレッド・ニール『The Many Sides Of Fred Neil』(Collectors' Choice)

また、当時のグリニッチ・ヴィレッジを中心とした若者文化、そのアーティスティックな側面を伝えてくれるNY詩人のひとりとして、フィフス・アヴェニュー・バンドという素晴らしい軌跡を残したピーター・ゴールウェイがいる。ローラへのトリビュート・アルバム『Time And Love』を企画した彼は、いかにローラがその街を愛していたか、その街を紹介する素晴らしいガイドであったかを、知っていたに違いない。こんな良きガイドたちを通して、NYはその複雑な横顔を、異国に住むわれわれに垣間見せてくれるのだ。

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