ジャズ史上最高のカリスマ、ジョン・コルトレーン(1926-1967)の完全未発表スタジオ録音が、録音から55年の時を経て発表!
マッコイ・タイナー~ジミー・ギャリソン~エルヴィン・ジョーンズという通称・黄金のカルテットを率いて、1963年3月6日にニュージャージーのヴァン・ゲルダー・スタジオで行った公式セッション。
『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』の録音前日に行われたセッションで、数々の名盤を残した充実期のグループを余すところなく捉えた歴史的遺産。セッションの記録は残っていたものの海賊盤含めこれまで世に出たことがなかった幻の音源。
マスターテイク全7曲(約47分)のうち、Track 1, 3はコルトレーンの未発表のオリジナル曲。また、代表曲「インプレッションズ」とジャズ・スタンダードの「ネイチャー・ボーイ」の2曲は、ピアノのマッコイ・タイナー抜きのトリオ編成での貴重な録音。
デラックス・エディションは、別テイクを収録したボーナス・ディスク付2枚組。この2枚で当日のセッションの全貌がわかります。
わずか40年の生涯ながら、ジャズ史のみならず、アメリカ・ポピュラー音楽史に偉大な功績を遺したジョン・コルトレーンの絶頂期の演奏が堪能できる、全音楽ファン必聴の作品。
1963年3月6日、ニュージャージー、ヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音
Recorded by Rudy Van Gelder
Original Session Produced by Bob Thiele
BOTH DIRECTIONS AT ONCE: THE LOST ALBUM produced by Ken Druker and Ravi Coltrane
国内盤のみUHQCD
※ジョン・コルトレーンの未発表オリジナル曲
国内盤のみSHM-CD仕様
※deluxe 2LP画像
これに関して確たる証拠や証言がなく、決定的な理由はわかりませんが、推測は以下の通りです。 当時所属のインパルス・レーベルは、『バラード』、『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』、『デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン』といった、(今回の未発表セッションとは異なる)企画要素の強い作品を連続して発表していました。加えて、当時コルトレーンは人気が鰻登りの状態で、その人気に乗じて過去に所属したレーベル(プレスティッジ、アトランティック)より、各社の在籍時に録音していた音源がこぞって(まるで新作を装って)発売されました。そのため、市場にコルトレーンのアルバムがあふれて混乱をきたしていたそうです。そんな状況のために、いつしかリリースのタイミングを逸してしまったと思われます。
録音されたマスターテープは、インパルス・レーベルが録音場所のヴァン・ゲルダー・スタジオから引き上げて管理していました。 コルトレーンの死後(60年代後半)、レーベルの親会社であるABCレコードはロサンゼルスへと本社を移転、インパルス関連のマスターテープもすべてロスの保管施設に移管されました。 やがて70年代初頭に入り、ABCレコードの経費削減の取り組みの一環として、保管費用の節約のため、貴重なマスターテープが次から次へと廃棄されました。カタログに存在する1アイテムにつき1本のテープ・コピーは保有される、という基準だったため、当時までにリリースされていなかった音源のテープは破棄されてしまったそうです。そんな中に今回も未発表セッションのマスターも含まれていたと思われます。
コルトレーンは毎回録音セッションを終えると、いつもリファレンステープをエンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーから受け取り、家に持ち帰って演奏を再チェックするのを習慣としていました。それは、マスターテープと同時にモノラル録音された音源です。当時コルトレーンは、これらのテープの一部を自身の手元に置き、一部は当時の妻ナイーマに預けていました。(注:本作が録音された1963年当時、既に二人は別居していましたが、連絡を取り続けていたそうです。) 時は流れて2005年。NYマンハッタンでジャズ・ミュージシャンの遺品を中心とするオークションが開催され、ナイーマの遺族からの出品予定品目の中に、彼女の自宅に残されていた上記オープンリール・テープが含まれていたことで、テープの存在が明らかになりました。 それを受けて、ヴァーヴとコルトレーンの遺族との間でアルバム発売に向けての協議がスタート。その後ヴァーヴの担当者が会社を離れたためプロジェクトが頓挫していましたが、昨年担当者がヴァーヴに復帰したことで再び動き始め、テープの発見から15年の歳月を経て、ようやく今回世に出ることになりました。