キャリア10年で生み出してきた"うた"が様々な反響を生み、それが反射する形で近年は文筆家、映画・舞台役者へと転がり続けるシンガーソングライター、前野健太が4年半ぶりのオリジナル・アルバムをリリース! (C)RS
JMD(2018/02/08)
やけにベタなタイトルにクスッと笑いつつ、きっと何かが隠されているはずだと思いながら封を開けてみれば、ブランニューなシャツを羽織って颯爽と歌いまくるマエケンが登場し、心がざわめく。ceroの荒内佑、岡田拓郎、武藤星児、そして石橋英子といった才人たちがプロデュースとアレンジを手掛け、20名を超えるミュージシャンが参加した4年半のオリジナル・アルバムにおいて彼が試みたのは、昔からあったような新しい音楽作り。南佳孝チックでメロウなサマー・チューン"夏が洗い流したらまた"や昭和レトロなブギウギ"アマクサマンボ・ブギ"など多彩な変化球を駆使した投球スタイルを見せてくれるのだが、いままでになくシンガーとしての男の色気に満ちている点が何とも素晴らしい。ショーケンとジョン・レノンが正面衝突したような"マイ・スウィート・リトル・ダンサー"やナチュラルでライトなスウィング感を醸す"SHINJUKU AVENUE"など、全編で艶やかな花吹雪が舞うマエケン劇場。彼の新時代がやってきた。
bounce (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.414(2018年4月25日発行号)掲載)