D.A.N.やPAELLASらと共に海外シーンと共振する音楽性で話題を呼んだ4人の初アルバムが完成。メンバー2人が所属するyahyelとは対照的に、初期はインディー・ロック然としていた彼らだが、先行曲"Mobile"ではハウスに接近。同曲と同じく砂原良徳がマスタリングを担った本作では、冒頭曲を筆頭にダブステップやフューチャー・ベースも独自に解釈し、バンドのイメージをさらに更新している。とはいえ、よく聴くとフィジカルに訴えるロック的な熱さや、ディプロらと組んだジャスティン・ビーバーにも通じるポップさも感じられる点が、このバンドならでは。"Queen"はそんな彼らの姿が凝縮された一曲だ。歌詞では〈フェイスブック〉〈アマゾンプライム〉〈スマートフォン〉などが登場する情報の海を泳ぎながら、クリック一つで何でも揃う時代に、それでも手に入らない〈人の心〉や〈フロアの熱気〉を渇望する。だからこそ、バラム・アカブ『Wander / Wonder』を思わせる終曲が現代のレクイエムの如く聴き手の胸を打つ。
bounce (C)杉山仁