前作『Joyous』は横山剣らを迎えた〈大人〉がキーワードの作品だったが、新作は現在日本のシーンを騒がせている若手を多数迎えたフレッシュな一枚に。かせきさいだぁによる発語の快感が抜群の日本語詞をSuchmosのYONCEがメロディーとラップの中間でファンキーに歌唱する"Radio 体操ガール"、CICADAの城戸あき子を迎え、クールなジャズを展開しつつも乱打されるドラムがエモーションを喚起する"鼓動"、プロジェクトとしての成り立ちが一番近いSugar's Campaignの面々が参加しながらも、あえてロック寄りに仕上げたような"笑ってリグレット"は特に印象的だ。他にもceroの髙城晶平やnever young beachの安部勇磨をシンガーとして招きつつ、作詞では掘込高樹や鴨田潤らが関与していて、ここでは新旧のシティー・ポップ世代の融合が行われているとも言える。そして、そんな文脈を一切抜きに、築地を題材とした"冨田魚店"で見事時代を射抜いてしまった水曜日のカンパネラの寵児ぶりは流石の一言。
bounce (C)金子厚武