3人組ロック・バンド、"くるり"の約2年ぶり(2014年時)となるアルバム。時代と世界を自在に行き交う、音と言葉の冒険の旅。過去の記憶の集積と想像力が掛け合わされて誕生した作品。2014年10月公開の映画『まほろ駅前狂騒曲』主題歌「There is(always light)」、NHK総合『ファミリー・ヒストリー』主題歌「Remember me」他を収録。 (C)RS
JMD(2014/10/29)
くるりによる息をもつかせぬ53分間の音楽アトラクション。時代と世界を自在に行き交う、音と言葉の冒険の旅。はじめての体験となるであろう、どうしようもなくワクワクするファンタジックなこの感覚。さまざまな時代、さまざまな文化の「懐かしさ」と「斬新さ」、映像や音、匂いの記憶が次々と浮かんでは消えていく「サウンドの走馬灯」。過去の記憶の集積×想像力=今、アルバム「THE PIER」が誕生した。それは「これから名付けられることを待っている音楽。『まほろ駅前狂騒曲』主題歌 「There is (always light)」、チオビタ・ドリンクCM曲「loveless」「ロックンロール・ハネムーン」、NHK総合「ファミリー・ヒストリー」主題歌「Remember me」収録。
ビクター
発売・販売元 提供資料(2014/07/29)
これまでもくるりの作品の多くはマルチ・カルチュラルで、時代に規定されるものではなかった。だが、まるでパラレル・ワールドを旅するSF映画のサントラのような新作の多様性は、過去に類を見ないものである。そして、そのイメージを決定付けているのが、オープニングを飾る“2034”だ。エキゾ風味の強いクラシックとエレクトロニクスが融合し、不思議な未来感を醸すこの曲を入口にして、現代から過去へと遡り、東欧から中南米へと音楽紀行は続く。それは実際にSF化の進む現代において、自身のアイデンティティーを掴み直すための旅だと言ってもいいだろう。日本の地域社会に根付く労働歌をダンサブルな4つ打ちに乗せて甦らせた“Liberty&Gravity”は、そんなテーマをも示唆しているように思う。
bounce (C)金子厚武
タワーレコード(vol.371(2014年9月25日発行号)掲載)