告知なしで突然世界同時配信され騒然となった、ビヨンセ通算5作目がCD+DVDの2枚組パッケージで登場!ビヨンセ独自の感性や人生観を大いに反映させた、5作目にして満を持してのセルフ・タイトルとなる今作は、「私には音楽が見えるの」と本人が語るとおり、新曲14曲と17本のビデオによる【ビジュアル・アルバム】となっている。
オススメ曲 (3)(6)(10)
タワーレコード(2014/01/08)
何の前告知もないまま、US現地時間2013年12月13日(金)午前12時01分に世界同時でiTunes独占先行配信が開始され、まさに世界を騒然とさせたビヨンセ通算5作目のアルバム。世界を騒然とさせているのは、その突発的なリリース・タイミングだけではない。通算5作目にしてセルフ・タイトル(『ビヨンセ』)となる内容もまた、ビヨンセ独自の感性や人生観を大いに反映させたものになっており、新曲14トラックと17本のビデオによる【ビジュアル・アルバム】というこれまでにない壮大な作品として発表されたのだ。今回のこのリリースに際しビヨンセは自身のFacebookで発表したビデオ・コメントで次のように語っている。“私には音楽が見えるの。音として聴こえるだけではない。何かを感じるとき、私にはすぐにビジュアルが見える。自分の感情や、幼少期の記憶、私の人生に対する思い、私の夢や幻想に結びついたビジュアルが見える。そしてそれがすべて音楽につながっているのよ。”早くも世界中のファンに届きつつあるこの新作には、JAY-Zを始め、 Timbaland、 JustinTimberlake、Pharrell Williams、Frank Ocean等錚々たるメンバーが名を連ねている。2013年もいよいよ終盤というところで突如発表されたこの作品は、【ビジュアル・アルバム】というユニークさや壮大さを含め、歴史的な作品として世に残ることは間違いない。
発売・販売元 提供資料(2013/12/18)
Billboard - "[O]nce the initial novelty and shock wears off of Beyonce's impressive stealth-release feat, the brilliance and creative audacity of the album itself can sink in."
Mojo (Publisher) (p.94) - 3 stars out of 5 -- "There are thrilling moments...[with] spoken-word segments and a leftist R&B backdrop."
Paste (magazine) - "[With] wonderfully adventurous and of-the-moment sonics..."
Pitchfork (Website) - "The album is brassy but elegant....It finds Beyonce shifting gears to pull off her most explicit and sonically experimental music to date, exploring sounds and ideas at the grittier margins of popular music."
Rovi
ジェイZの『Magna Carta... Holy Grail』と同じく作品の外枠のことばかり語られがちなのが残念な、ビヨンセのおよそ2年半ぶりのニュー・アルバム。曲ごとに個別のヴィジュアルを制作する試みは前作『4』でも行われていたものの、それぞれMVまで制作して同梱するというこだわりの程はサウンドそのものの隅々まで行き届いた目配せにも繋がるものだろう(“XO”にまつわる一件ではダイナスティ固有のおぞましい驕りも見え隠れしたが……)。前作で成果を上げたシェイ・テイラーやジェフ・バスカーの名はなく、大半の曲でロック・ネイションの新鋭であるブーツ(元ブロンズのジョーディ・アッシャー)がサポート。ジャスティン・ティンバーレイクを含むティンバランド軍団や、馴染みのドリーム、ヒット・ボーイ、ライアン・テダーら膨大なクリエイター陣が各パーツを担当した複雑なクレジットは最近のカニエ作品などにも近いが、細部まで重ねられた推敲の成果を支配力の強い主役のヴォーカルが結わえているのはいつも通りだ。その歌も、ディテイルによる“Drunk In Love”では退廃的なリアーナ唱法(?)を交ぜ込んできたり、ファレルも関与したブギーの“Blow”ではデスチャ風のコーラスを織り重ねたり、ビートの色調に応じて歌唱面でも挑戦や工夫が凝らされているのが楽しい。で、どうも昨今は情報摂取の流れが硬直化しているせいか昔以上にリスナー性向が一転集中絶賛型になりやすいようだが、ビヨンセが最高なのは当然なので、むしろ今作への呼応or反動から生じるであろうシーン総体の動きに期待したい。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.363(2014年1月25日発行号)掲載)
ビヨンセが『4』に続くニュー・アルバムの制作に着手したのは、2012年夏ごろのこと。その進捗状況は“Grown Woman”や“Standing On The Sun”といったCMソングなどから垣間見ることができたが、リリース時期が一向に見えてこないなか、2013年7月には50曲ほどあった新作用のマテリアルをすべて白紙に戻して一から作り直すとの報道もあり、作業の難航ぶりが窺えた。同時期にはシングル“Bow Down”の高圧的な歌詞がリアーナやキーシャ・コールから非難されたりと、順風満帆だったビヨンセのソロ・キャリアにもついに試練が訪れたかと思ったが……そんな杞憂は木っ端微塵に吹っ飛ばされた。新曲14曲と17本のビデオで構成された大胆なパッケージング、そして前告知一切ナシのiTunes独占先行リリースなど、ビヨンセの勇気ある挑戦はもちろん賞賛に値するが、肝心の音楽的評価がおざなりになるような事態は本末転倒というもの。今回のビヨンセは音の方もいままでになく〈攻め〉の姿勢をとっていて、“Drunk In Love”や“Flawless”でのトラップ・ビーツ、“Haunted”でのポスト・ダブステップ、“Blow”でのブギー/ディスコ、“Mine”でのアンビエント・ソウルなど、アンダーグラウンドのモードを採り入れたフューチャリスティックなR&Bトラックが次々と繰り出されていく展開は時代のエッジに触れている実感と興奮がある。ディアンジェロ“Untitled”ばりの妖艶なブラックネスを発散する“Rocket”なども含め、〈ヒップなビヨンセ〉を堪能できるという点においては彼女のディスコグラフィー中でも随一と言っていい。
bounce (C)高橋芳朗
タワーレコード(vol.363(2014年1月25日発行号)掲載)