名アンサンブルの活動末期の名演。栄光の伝統が結実した至高のワーグナー。
ブラス・アンサブルを代表する団体といえば真っ先に浮かぶのがフィルップ・ジョーンズ・ブラス・アンサブルであり、活動期間の長さやフレキシブルにメンバーや規模を替えて様々な楽曲を演奏したことを含め、単なる近接した楽器のアンサンブルの表現を超えた至高の存在として広く知られています。音楽的にも非常に充実した活動を常に行っており、様々な演奏者達に多大な影響を及ぼしました。
活動期間は長く、1951年に結成されてからブラス・アンサンブルの可能性について実験や検証を行った結果、1970年のDECCAデビューで遂に成果が結実します。以降来日も行い日本でのファンも着実に増える一方、オリジナル曲以外にも様々な曲に挑戦しました。このワーグナー・アルバムもそのひとつで、本来弦楽器の厚みある音色は管楽器では表現が難しいですが、卓越したアレンジによって芸術的な域にまで高められたワーグナー演奏を披露しています。
1986年6月に惜しまれつつも解散コンサートを行い、その歴史溢れる活動に終止符が打たれました。この録音は解散の約2年前の録音であり、活動末期の貴重な記録のひとつです。2013年はワーグナーの生誕200年という記念の年に当たりますが、従来のアプローチとは異なった彼らスタンスのワーグナーもまた、記念イヤーを飾る重要な盤と言えましょう。尚、このアルバムは、すべて吹奏楽編曲版の楽譜を使用しており、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのメンバーに加え、エキストラの金管楽器奏者、打楽器奏者、木管楽器奏者が参加しています。そのため、アルバムのアーティスト表記は「フィリップ・ジョーンズ・アンサンブル」となっております。

タワーレコード （2013/10/10）