初発売! 晩年1988年の貴重なライヴ。壮大な「英雄」は必聴! 山田一雄&日本フィルの芸術4

「英雄」は1988年、オープンしてちょうど2年目のサントリー・ホールにおける第100回名曲コンサートでの演奏(記録によると当日は「皇帝」も演奏)。この演奏はディスクとしては3つめの「英雄」となります。この後翌'89年には札幌交響楽団と(TWCO1001で発売中)と、そして'90年に新星日響とも音源を残していますが、ある意味最も充実した「英雄」の演奏と言えるかも知れません。作曲家の目によるベートーヴェン解釈と、指揮者としての感興とのバランスとが見事に均整化された演奏で、極めて充実した響きが堪能できます。氏が理想を追い求めた響きに近かったかどうかは今となってはわかりませんが、少なくとも聴く者に大きな感動を与えることでしょう。見通しの良い録音も含め、まさに完熟した響きをお楽しみください。
カップリングの「後宮からの逃走」序曲は、モーツァルトを終生愛し続けた氏の真骨頂です。僅か5分強という短い曲への思い入れは尋常ではありません。必聴です。池田卓夫氏による充実した書き下ろし解説も読み応えがあります。氏の本質を見事に捉えた解説は今回の発売に相応しいもので、日本フィルOBの新井豊治氏の回想録と共に、この盤は山田一雄のファンにとって永遠の価値を持つCDとなるでしょう。

タワーレコード （2013/07/05）