大きな岩のような悲しみはやがてポケットの中の小石に変わる

喪失からの再生を描いた上質な人間ドラマの感動作
“ウサギの穴”は「不思議の国のアリス」の有名な設定からとられたもの。交通事故で愛息子を亡くしたことによって、それまでは想像し得なかった心の痛みに囚われた主人公ベッカ、そしてその夫ハウイーの境遇を、ウサギを追いかけて不思議の国に落っこちた少女アリスの体験になぞらえた。悲しみにくれささくれ立つベッカに、パラレル・ワールドでは“別の人生”がありうることを気づかせる。喪失からの再生というテーマを探求したこの物語は、「悲しみは必ず癒される」とは声高に叫ばず「悲しみは癒えないかもしれない。それでも人は前に進むことができる」と、観る者にそっと語りかける。

ニコール・キッドマンが2011年アカデミー賞&ゴールデン・グローブ賞主演女優賞 Wノミネート
ピュリッツァー賞に輝く傑作戯曲を二コール自ら初プロデューサーとして映画化に心血を注いだのが本作。虚飾を一切そぎ落とし、ごく普通の女性の複雑で起伏に富んだ感情を、繊細にかつリアルに表現、二コールの演技は全米で絶賛され、『めぐりあう時間たち』以来8年ぶりのアカデミー賞主演女優賞ノミネートとなった。

実力派俳優たちの情感豊かなアンサンブルとジョン・キャメロン・ミッチェル監督(『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』)の新境地
『サンキュー・スモーキング』『ダークナイト』の実力派俳優アーロン・エッカート、『ハンナとその姉妹』『ブロードウェイと銃弾』で二度のアカデミー賞助演女優賞に輝く名女優ダイアン・ウィースト、『サイドウェイ』『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』のサンドラ・オー、本作品での好演で高評価を得て『フットルース』リメイク版に出演が決まっている注目株マイルズ・テラーら、キャスティングの妙が光る!