舞台は2054年のワシントンDC。そこでは犯罪を未然に防ぐために〈プリコグ〉と呼ばれる3人の予知能力者が揃って予知した視覚イメージをモニターし、それを基に数時間内に犯罪を犯すと推測される〈犯人〉を逮捕するシステムが試験的に行われていた。そんなある日、トム・クルーズ演じる犯罪予防局の主任刑事ジョン・アンダートンは、プリコグによって自分が殺人を犯すと予知される。見ず知らずの人を殺害するという身に覚えのない容疑を晴らすため逃走を計るジョン。そして見つけた過去に起きたある事件の報告書。それは3人のプリコグの一致しない予知視覚のため破棄された少数報告書〈マイノリティ・リポート〉だった。そこから手繰っていく事件の真相とは――。 　スティーヴン・スピルバーグとトム・クルーズというまさにNo.1同士の夢のタッグにより、フィリップ・K・ディックの短編小説を元に描かれた近未来SF超大作「マイノリティ・リポート」。街や建物のデザインは目を見張るほどのセンスを見せ、車は垂直に走行し、店の看板は顧客に話しかける。スピルバーグが描いた近未来は決して明るいものではなく、むしろ徹底された管理社会はダークなイメージを与える。高度化するデジタル文明が発達していくほどに際立っていく人間の心の闇のドラマ。そこには、そう遠くはない未来の光と影を見るよう。メイキング映像、マイノリティ・リポートの世界分析、ストーリーボードなどの映像特典も付いた充実のDVDだ。
bounce (C)入江 玲子