ここではない何処かへ…プログレッシブ・ロック/アンビエント/テクノ/ヒップホップ/グライム/ダブステップ…そしてUK音楽史が辿り着いた"ダークスター"という絶景。
「この作品には、命が宿ってる。独特の幻想と時間の中で流れてるんだ」。メンバーのジェイムス・ヤングが言うとおり、ダークスターのセカンド・アルバム『NEWS FROM NOWHERE』は一瞬で耳を奪われてしまうほど美しい幕開けで始まる。00年代半ば、エイデン・ウォーリーとジェイムス・ヤングの二人からなるダークスターは、初期のグライムやダブステップといったエレクトロニック・サウンドを融合することから活動をスタートさせた。そしてコード9主宰の<Hyperdub>からシングル「Aidy's Girl Is A Computer」をリリースしたことで一気にその名を轟かせることとなる。その後、ヴォーカリストのジェイムス・バッテリーの加入を経て、バンドへと発展したダークスターはデビュー・アルバム『North』をリリース。同作品は2010年の国内外の各誌年間ベストに取り上げられ、高い評価を獲得している。『North』リリース後のツアーで、世界をまわっ 3人は、ロンドンの喧噪から離れるように、ウェスト・ヨークシャーの田舎にある一軒家にこもり、トリオとしては初めての作曲作業を行った。つまり今作とは、そこで過ごした時間が反映された作品である。アルバムでは「日常生活」に潜むその"ストーリー"を緻密なサウンドスケープへと昇華させながら、実にリリカルに紡いでいる。また、本作のプロデューサーにはソニック・ブーム、フッド、ワイルド・ビースト、エジプシャン・ヒップホップらを手がけるリチャード・フォームビーを起用。英国プログレッシブ・ロック、非典型的なテクノ、ヒップホップから受けた影響は、バッテリーのメロディ・センス、声、そしてテープ・マシーンやアナログ・シンセサイザーなどを駆使し、こだわり抜かれた一音一音が繋がり、そして幾層にも重なりあった万華鏡のような作品へと形を結んだ。"どこでもない場所"から届いた便りには、UK音楽史の未来が綴られている。この初回盤のみDarkstar仕様のスペシャルWARPステッカーを封入!
DIS
発売・販売元 提供資料(2012/11/29)
3人体制になったダークスターがワープ移籍後初となるニュー・アルバムを発表。前作より若干明るいトーンになったこと以外に大きな変化はなく、霧のなかを彷徨っているような、儚くも幻想的な時間がゆったりと流れている。音の配置も絶妙で、どの一瞬を切り取っても感動が込み上げてくるほど美しく、タレント揃いのダーク・ポップ勢においても別格の出来だろう。早くも2013年のベスト・アルバムに決定か!?
bounce (C)青木正之
タワーレコード(vol.351(2012年12月25日発行号)掲載)