リップ・リグ&パニックやニューエイジ・ステッパーズなどでも活躍し、80年代末から90年代はソロ・アーティストとして大きな成功を収め、ユッスー・ンドゥールからトリッキー、ゴリラズなど著名アクトとのコラボも多数、レイ・ペトリ率いるクリエイティヴ集団<バッファロー>にも名を連ね、音楽のみならずカルチャー全域のアイコンとして活躍したネナ・チェリー。一方、スウェーデン出身のリード奏者のマッツ・グスタフソン、アトミックでもおなじみのインゲブリクト・ホーテル・フラーテンとポール・ニルセン・ラヴの3人からなり、カトー・サルサ・エクスペリエンス、ジョー・マクフィー、サーストン・ムーア、ジム・オルークから大友良英まで、ジャンルを越え様々なアーティストたちと数多くコラボ、ジャズの域をはるかに逸脱した出音で人気を博す ザ・シング。本作はこれら2つの奇才が出会い制作された痛快なカヴァー・アルバムで、スーサイド、マルティナ・トップリー・バード、ストゥージズにMFドゥームと、カヴァー曲のチョイスも絶妙。もちろんネナの継父=ドン・チェリーのレパートリーも収録。
発売・販売元 提供資料(2012/05/10)
ポスト・パンクのアイコンとして現れ、ロックからダンス・ミュージックへチャートの主流が変遷していった時代の一翼を担ったネナ・チェリーに、オーネット・コールマンから山下洋輔までをカヴァーする北欧のジャズ・バンド、シングのコラボ。8曲中1曲を除きスーサイド、MFドゥーム、ストゥージズなどのカヴァーで構成され、選曲、アレンジ、ヴォーカルすべてでネナの世代が再発見した、社会主義的理想をめざしたカウンター・カルチャーの美学を表している。モダンな奇天烈と辛口を好み、砂糖漬けの豪奢を嫌い、フリージャズやノイズにいきそうでいかず中道的。ベースラインにネナの声が乗り、そこにホーンが絡んで盛り上がる“Dream Baby Dream”を聴いて好きだったら買い。
bounce (C)死亡した宇宙飛行士
タワーレコード(vol.345(2012年6月25日発行号)掲載)