歌モノ名曲のインスト解釈は、どうも居心地がよろしくない。マエストロたちによる演奏でも、メロディーに存在感がある一方で、各パートの色が薄い場合が多いからか。だが、RFの新作はすこぶる良い。今回のお題は90sのR&B。メアリーJ・ブライジ“Real Love"や、ボビー・コールドウェル使いで知られるタチアナ・アリ“Boy YouKnock Me Out"も。当時を振り返れば、ヒップホップ経由のファットなボトムの上に、キャッチーな歌メロがネタと交じり合って活きていた。ここが今回よく馴染んでいるのだろう。太いベースではっきりとなぞり上げ、打ち込みを意識しながらも、生っぽくビートを叩き込んでいる。俊敏なアコギも実によく歌う。デズリーにTLCなどなど、甘酸っぱさも覚えながら浸ってください。
bounce (C)池谷修一