現代音楽に新風を吹き込んだラサール弦楽四重奏団は、アメリカらしい現代的な感覚の豊かな音楽性です。高度なテクニックによる緻密で正確なアンサンブルとシャープで鋭い演奏ながら、濃やかな表現も見事なので魅力があります。

当盤は無調(12音技法など)作品が多いですが、削ぎ落とされた美しい響きを満喫できますし、弦楽六重奏の浄夜(弦楽合奏版にはカラヤンの名盤あり)が収録されている貴重なアルバムです。

※ハンブルク・ハールブルクのフリードリヒ・エーベルト・ハレ(ホール)とミュンヘン・レジデンツのヘラクレスザールでデジタル録音、ライナーノーツはP28で充実(デーメルの詩、朗唱の歌詞対訳付)。

1899年の浄夜はシェーンベルクの初期作品であるが、この集約を超える作品をのちの20世紀のセリーが構築し得たか否かを弦楽三重奏曲、ナポレオンへの頌歌を提示して、聴く者の判断に委ねた。ウェーベルンはウェーベルン。ジュリアード＝ラサール楽団は1946-1987年の活動。録音が多く、良い学習資料、教材でもある。

まず第一に、ジャケットが美しい（以前お店で見かけてからジャケ買いしたかった）。第二に、全２８ページにもおよぶ詳しい解説書（歌詞対訳・「浄夜」日本語訳詩・シェーンベルク本人の「浄夜」楽譜書き込みおよび「ナポレオン」作曲いきさつへのコメント等）。これで1500円なら所持しがいがあります。願わくば、これと対になる「新ウィーン楽派の弦楽四重奏曲集」４枚組も、同じようにジャケット＆解説書復刻で３０００円くらいで出していただけると嬉しいのですが、輸入盤が出回っているから無理でしょうかね。