ピアノ・ソナタ全集は、現在入手困難となっています”アマデオ”レーベルのもの～1967年録音[ステレオ収録]。DECCA盤の旧録[モノラル収録]以来の再録音は、長くベートーヴェンのソナタ全集の代表格的存在となっていました。今回は、待望の独ユニバーサルのローカル・リリースとしての再登場となります。以前の盤もロングセラー盤でしたが、こちらはかなりのプライス・ダウンが嬉しい所です。内容は、グルダならではの“一流のピアニズム”に溢れた極めて完成度の高い演奏ばかり。自由闊達な音楽の生命感と客観的に秀逸な様式美…。ベートーヴェンのソナタ全集の録音もかなり増えてきましたが、全曲の演奏レベルを考えると、今尚この盤を凌駕するものは数少ないのではないでしょうか？
一方、カップリングとなるピアノ協奏曲全集は、1970～71年の録音となります。何と言っても、ステレオ収録ということで、グルダの鮮やかで軽やかなピアノとシュタイン＆ウィーン・フィルのハーモニーが確実に伝わってきて熟聴の価値大です。VPOとの共演では、オペラ作品などでも大きな仕事を残してきたシュタインですが、ここでも当時のVPOならではの個性的なサウンドを引き出しており見事です。
今回の12枚組は、2つのグルダによる代表的なベートーヴェン録音をカップリングした好企画盤として、要チェックです。

タワーレコード （2009/04/08）