オープニングトラックの 「Before Paris」 から掴まれる。
マッシヴなドラムにグルーヴィーなギターのアンサンブルが自然と体を揺らし、そこから拡がる電子の音の波に感覚が誘われる。
体や周りの空気が、まるでもともと液体であったかのような感覚になり、チルといった言葉だけでは形容しきれない気持ち良さがある。
リズミカルでアップテンポな曲からムーディな曲まで振れ幅があるが、その継ぎ目を感じさせないほどトラックの繋がりが有機的で、それはまるで地面の中で様々な方向に根を張った木々が、エネルギーの循環の中に身を置き、枝葉を伸ばし呼吸している営みそのもののようである。
購入したのはEU盤だが、音がシンプルに良く、音楽を聴く時間というものの暖かみを感じさせる。
レコードとしての質が高いと思う。