カスタマーズボイス一覧

アルベニス: ピアノ作品全集 / ミゲル・バセルガ

アルベニスのピアノ作品がすべて収められています。ギターの奏法をピアノ作品の作曲技法に採り入れ、独特の味わいのある作品を書いたスペイン最大の作曲家であるというようなことが音楽辞典には書いてありました。このミドルプライス・ボックスはなかなか思いつきそうにない工夫をしてあるCDボックスです。まずフルプライス盤として制作した際に作ったCD盤はそのまま薄い紙製のエンベロープに詰め替えられ、フルプライス盤に使っていた分厚いリーフレットもそのままCDとともに紙箱に収められています。フルプライス盤に使用していたプラスティックケースは他の製品に使えますから
無駄になるものは一つもありません。ブックレットもフルにその内容を変えることなく読むことができます。変なことを考えていたはずなのですがCDを聴いているうちに音楽に引き込まれて耳が音を追いかけていました。というのももたもたしていると置いて行かれそうな早いパッセージがどんどん出てくるのです。もちろん短い音価の音ばかりでは音楽にならないでしょうから、ゆったりしたパッセージも出てきますし、メロディーはその両者の間を行ったり来たりします。この全体は普通のピアノ音楽とはいささか趣の違うものを、つまり新しい音楽技法とそれによる新しい音楽表現を生み出します。これがなかなかに面白いのです。少なくとも私にはとても面白い経験でした。このポリリズミックな音楽はピアノをまるでちがう楽器であるかのように感じさせるそのような表現の時間を含み持っています。作曲者の作品作りに対する熱意を体感できるそんなピアノ作品全集です。レーベルはBISですが、BISらしからぬ熱い音楽が聴けます。お薦めします。

商品詳細へ戻る

寅さんが書いたカスタマーズボイス

  • 1

(全23件)

私は20代の頃フィンランドのラハティという町で暮らしたことがあります。ラハティは人口十万人ぐらいの小さな町ですが独自のオーケストラがあり、2週間に一度定期演奏会が行われていました。私はほぼ、毎回聴きに行っていましたが,お世辞にも上手いとは思えないオーケストラでした。それがあるとき、パーヴォ・某という指揮者が客演でこのオーケストラの指揮をしました。それが最初の音を発したときから、従来の演奏とは全く違う素晴らしい演奏で、一糸乱れることもなく、大いに感動しました。私はこの指揮者が一体どうやってこのへっぽこオーケストラにここまで見事な演奏をさせることができたのか、不思議でなりませんでした。なかなかこの人の名前をCDやLPで探すことができずにいましたが、このCDセットを見つけたときには、あっ! あのときの指揮者だ、と確信をしてすぐに購入を決めました。あの素晴らしい指揮者の紡ぎ出す、端正でなおかつ凛としたエネルギッシュな音楽をまた聴くことができるということに驚き、また非常に嬉しくも思いました。しかもこんなに安価な価格で買うことができるとは、驚くというよりも呆れてしまいました。とても買い得の逸品です。お薦めします。

理知的でありながら、とそのダイナミズムは情感に裏打ちされたそのダイナミズムは情感に裏打ちされたものだと想いましたが、弱音部に於いても崩れるところがなく、音楽全体が大きな構成感を崩すことがありません。速いパッセージでもクリアにしかもとても速く、ある意味では力強く演奏します。そしてとても美しい演奏であると思います。魅力的なピアニストです。大いにお薦めします。

アルベニスのピアノ作品がすべて収められています。ギターの奏法をピアノ作品の作曲技法に採り入れ、独特の味わいのある作品を書いたスペイン最大の作曲家であるというようなことが音楽辞典には書いてありました。このミドルプライス・ボックスはなかなか思いつきそうにない工夫をしてあるCDボックスです。まずフルプライス盤として制作した際に作ったCD盤はそのまま薄い紙製のエンベロープに詰め替えられ、フルプライス盤に使っていた分厚いリーフレットもそのままCDとともに紙箱に収められています。フルプライス盤に使用していたプラスティックケースは他の製品に使えますから
無駄になるものは一つもありません。ブックレットもフルにその内容を変えることなく読むことができます。変なことを考えていたはずなのですがCDを聴いているうちに音楽に引き込まれて耳が音を追いかけていました。というのももたもたしていると置いて行かれそうな早いパッセージがどんどん出てくるのです。もちろん短い音価の音ばかりでは音楽にならないでしょうから、ゆったりしたパッセージも出てきますし、メロディーはその両者の間を行ったり来たりします。この全体は普通のピアノ音楽とはいささか趣の違うものを、つまり新しい音楽技法とそれによる新しい音楽表現を生み出します。これがなかなかに面白いのです。少なくとも私にはとても面白い経験でした。このポリリズミックな音楽はピアノをまるでちがう楽器であるかのように感じさせるそのような表現の時間を含み持っています。作曲者の作品作りに対する熱意を体感できるそんなピアノ作品全集です。レーベルはBISですが、BISらしからぬ熱い音楽が聴けます。お薦めします。

私はこのCDボックスに収められた様々な音楽の主人公、ジェラール・コセという人をまったく知りませんでした。箱の表にはっきりとヴィオラ・レジェンドと書いてあるのですからヴィオリスと分かりそうなものですが気がつきませんでした。そういうことが何も分からなくても、このCDセットが面白そうなものであると感じて、注文をしました。この勘が見事に当たりました。コセの演奏するヴィオラの音が実に魅力的なもので、ふくよかで、艶やかで一本芯がとおっている。それでいてしなやかでもあり健康な人間の心の温かみのようなものをじんわりと感じさせてくれる。これが実に魅力に溢れる音色であった。音色だけに限らず実にいろいろな楽曲が収められている。1枚目がモーツァルトの協奏交響曲とベルリオーズの「イタリアのハロルド」。なかなか無いカップリングだと思うがこれが実に巧くその楽曲の特長を聴かせてくれ違和感は全くない。実に楽しい時間を過ごさせてくれた。13枚のCDが様々に異なる、しかし調和感に優れた音楽を聴かせてくれた。心の中にはある種のわだかまりのようなものが有ったのだがこのCD1枚がすっかり洗い流してくれた。それから13枚を3日ぐらいですべて聴き終えたが、1枚も質の落ちるものはなかった。録音もよく、この優れた演奏を充分に楽しむことができた。値段も安く、なかなかここまで優秀な音楽を聴かせてくれるCDセットは無いと思う。自信をもってお薦めしたい。

この2枚組のCDは本当に面白く聴くことができた。いわゆるロシアピアニズムとは、大分違うように私は感じた。むしろフランス音楽のような風情があり、美しくも完成されたリムスキー・コルサコフの音楽を聴くことができる。リムスキー・コルサコフはイーゴリ・ストラヴィンスキーに作曲を教えた人でもある。ストラヴィンスキーの一部の作品は実によく演奏され録音されるが、リムスキー・コルサコフの方はそうともいえないように思う。もっと紹介されてしかるべき人である。ロシア音楽ではモデスト・ムソルグスキーとリムスキーコルサコフはもっと聴かれてよい作曲家であると、私は思っている。このCDもお薦めしたいと思う。

パーシー・グレインジャーはいわゆる現代音楽などと言うものには目もくれず、聴いていて楽しくなるような楽曲ばかりを書いた作曲家であるが、その作品はなかなか一筋縄ではいかないような技法も鏤められている。北欧、イギリス、アメリカなどの国に住み、いろいろな音楽イディオムを吸収し、自らのものとして作曲をした。比較的短くて聴きやすい作品が多いが、楽しいというばかりではなく、かなり大胆なものをも含め実に様々な方法で作られた音楽を聴かせてくれる。私はこの21枚のCDを大いに面白く聴くことができた。お薦めのCDセットである。

私はエレーヌ・グリモーという人を知らなかったが、YouTubeなどでその演奏を聴き、その煌びやかでリリカルな、しかも極めて精確でありながら繊細であり、なおかつダイナミックな演奏を、つまりは完璧なピアノ演奏ととても優れた音楽感覚を併せ持つ、素晴らしいピアニストであると思ったのである。そのエレーヌ・グリモーがいまわあまり恵まれた境遇にはなさそうであることを、大いに訝しくも思ったのである。若い頃のコケティッシュとも言うべき魅力とはまた違った美しい女性であり続けているし、ピアニストと自らのものとしつつあり、自らのものとしつつ、相変わらずの卓抜したピアニズムを聴くものに感得させてくれる。今のままの彼女の姿にぜひ大きなスポットライトを当ててもらいたいと、つくづく思った。このCDセットも素晴らしいものであると考える。

私はまだこのCDボックスセットを受け取った訳ではないし、当然聴いてもいない。だがこれは通常よくあるミッドプライス・バジェットプライスのボックスセットとはまったくその性格を異にする、貴重な資料的意義をも持つCDセットなのだと私は理解している。ポーランド独立の1918年から2018年までの100年間に作曲された作品の中から、選りすぐって1年に一曲の楽曲を34枚のCDに収録し、各作品、作曲家についての詳細な解説をブックレットという範疇には収まりきらないような、あえて言えば書籍として同梱しているのである。収載されている作曲家の名からも、本格的な研究がなされた、統一的・歴史的観点からの俯瞰的な構想に基づくものであることが予想される。おそらくこの書籍には、楽譜資料をも用いた本格的な解説が行われているのであろう。最初に出てくる作曲家がカロル・シマノフスキであり。グレッキやペンデレッキ、の名も複数回出てくるしルトスワフスキなどの名前も見える。このような点からも本当に100年のポーランド音楽の歴史をになった作曲家達を紹介し、その作品を聴かせてくれるCDと、その解説をまとめた書籍たちを集め、まとめた他にまず類例のない、驚異的なボックスセットなのだと考える。なおこの分厚そうなブックレットは写真からは、10冊あるように見受けられる。すべて英文であるらしいが、英語であれば読めるという方も多くおられよう。作曲を職業とする方にも大いに役に立つであろうし、コアな音楽ファンにも充分に楽しめる、大いに聴き応えがあり、かつ読み応えのあるボックスセットであろう。私はこのセットは一桁上の値段がついていてもおかしくはないものだと思う。音楽を仕事にしている方を含め、多くの方にお薦めしたい。

このCDは日本語の説明文ではアンリ・デュパルクの歌曲全集と銘打たれていますが、本当はもっと多くの歌曲作品が残されているようです。ただこの17曲はフランス歌曲の精髄として、歌曲作品を代表するものとして多くの人に認められている作品であるということはほぼ間違いがないと思います。フランス歌曲のエッセンスをこの一枚のCDで堪能することができるわけです。デュパルクは、37歳で突然作曲の才能を失ってしまい、自分の作品のほとんどを破棄してしまい、残ったのは歌曲作品とわずかなピアノ作品だけであったとか。アンリ・デュパルクはセザール・フランクに作曲を師事、のちカミーユ=サン・サーンスにも教えを受けたとか。ここまではウィキペディアに掲載されていた文章の受け売りです。私がこのCDを買った一番の理由は、ジャケットの絵に惹かれたからです。アンリ・デュパルクという名前には微かに覚えがありましたが、どういう人であるかということは知りませんでした。ここからは私の感じたこと、考えたことになります。私はこの17曲の中で女声のために書かれた作品を歌っているミレイユ・ドゥルンシュというソプラノ歌手の声がとても美しく、甘やかで柔らかく、艶やかで伸びのある、実に魅力的なものであり、それは松平頼則の源氏物語に題材を得た作品のCDや、オリヴィエ・メシアンの歌曲全集というCDでも歌っている奈良ゆみというソプラノ歌手によく似ていると思われ、それがとても印象的でした。私は奈良ゆみという人は本当にもっと評価されてしかるべき人であると思っていたのですが、その感想もミレイユ・ドゥルンシュにもあい通ずるものであり、この人にももっと高い評価をするべきであると考えました。もっともこのCDの制作者はミレイユ・ドゥルンシュをフランス歌曲を代表する作品に起用したという訳ですから、充分に高い評価がなされているということでしょうか。それが日本ではそうではありません。これが少し悔しいと思うのは私だけなのでしょうか。ともあれこれがフランスの後期ロマン主義音楽を代表する作品と、飛び抜けた魅力を持つソプラノ歌手に巡り会えたのですから文句を言う筋合いではないということでしょう。陰影に富んだ、とても魅力的な作品たちには深く感動させられました。どうぞ聴いてみて下さい。お薦めします。

諏訪内晶子は世界で一番上手にヴァイオリンを弾くヴァイオリニストではないのかと、秘かに私は思っています。1990年のチャイコフスキーコンクールで優勝、その時点でまったくと言っていいほど疵のない、ほとんど完成されているヴァイオリニストであったとも思うのですが、現実にはそれからも真摯に実直に演奏技術を高め、表現技法の向上を目指し続けてきた、そのような音楽家であると思うのです。もっともけっこう飄逸なところもあるような人で、チャイコフスキーコンクールのあと、それ以前に学んでいたジュリアード音楽院に行き、それは以前一緒に学んできた仲間たちに報告をしに行ったということであろうと私は思うのですが、「あなたはいったい何をしにここへいらしたのですか。あなたはチャイコフスキーコンクールで優勝をした人なのですよ、もうここでは何もお教えできる事はありませんよ」と言われてしまったという剽軽なところもある、とても人間味溢れるヴァイオリニストでもあります。私はこの人のCDを全部買いそろえたいと思いポツポツと買ってきましたがなかなか思うようには行きませんでした。それが今回バッハの無伴奏ソナタとパルティータのCDをリリースするということにあわせてでしょうか、ミッドプライスのCDを何点も再発売することとなり、私も「メロディ」というタイトルの一枚を購入しました。諏訪内晶子の演奏にはまったく不自然なところがありません。きっちりと弾ききっている、それでいて情緒的なものを排除したというようなところはまったくなく、優しさ、温かさ、強さ、しなやかさ、艶やかさというような情感をもきれいに表現しきっている、そんな演奏であると私は思いました。彼女が世界で一番上手なヴァイオリニストであるという思いはこのようなところから感じ取ったものです。素晴らしい演奏であると思います。御一聴ください。お薦めします。

CD80枚で8,000円弱、安いですねー、驚きました。でも内容は実にしっかりとしたもので、安心して聴けるものばかりです。交響曲はニコラウス・アーノンクール指揮、ヨーロッパ・チェンバーオーケストラ演奏、協奏曲はベルナルド・ハイティンク指揮、シュターツカペレ・ドレスデンというような具合で、ヘンテコな名前は出てきません。歌曲や宗教曲もかなりたくさん入っており、カンタータなど簡単には聴くことができないような作品も多く、ベートーベンの意外な一面をうかがい知ることができます。ヤーノシュ・シュタルケルとルドルフ・ブフビンダーというちょっと意外な組み合わせがあったり、玉手箱のようなボックスセットでもあります。本当に楽しい、しかも演奏には一本筋が通っている、そんなCDが80枚はいっているのです。私のように懐があまり豊かでない方にも手が届く素晴らしいCDボックスです。お薦めします。

パーヴォ・ヤルヴィ指揮トーンハレ管弦楽団チューリッヒ演奏というこの組み合わせが素晴らしい音楽表現を生み出す魔術のような、奇跡のような、そういう組み合わせなんだと、私はそう強く思いました。一糸乱れぬオーケストラの演奏はとても高い水準で指揮者パーヴォ・ヤルヴィ氏の思い描くとおりのチャイコフスキーの交響曲を現実のものとしているのだと、私はその音楽がもたらしてくれる感動とともにはっきりと認識させられました。ダイナミックレンジの大きな、それでいてどこか優しくて繊細なところをしっかりと感じさせてくれるその演奏は、チャイコフスキーのパッションというものlを鮮やかに見せてくれます。私はエルネスト・アンセルメ指揮スイスロマンド管弦楽団の演奏を思い浮かべました。オーケストラと指揮者のまったく揺るがない相互の信頼関係がこのみ見事な演奏に結実している、そういうことを直感的に感じました。ダイナミックレンジが広ぃと書きましたが、ジュリアード音楽院流のいささか窮屈なそれとは違うのですが抑制すべきところは抑制されている、だから音の強弱が大きくても崩れるところがない、そういうことも感じさせられました。本当に気持ちのよい素晴らしい演奏だと思います。CDが5枚、その中にチャイコフスキーの交響曲全作品とその他の管弦楽作品も相当数収められています。どれも素晴らしい演奏です。安いけれどもお値打ちもののボックスセットだと思います。お薦めします。

アレクサンドル・ツェムリンスキーなどとも交流があった、むしろ先進性に富み、将来の音楽に対する強い希望を失わなかった、そういう作曲家であった。それがナチスに退廃音楽家というレッテルを貼られた理由だったのではないでしょうか。私はそのようなことを考えながらこの2枚組のCDを聴きました。ある種の温かみと優しさのようなものを失わない、そして新しい音楽技法への実験的な部分もあちこちに鏤められているそういう音楽であると思いました。今日の日本もなにかやりきれない、暗いくもった空気に覆われて、先の見えない状況に追い込まれてしまっている、そんなところからも私はこのウルマンの音楽に同調し、また決して退廃的なものであるとはいえない、苦境におかれてもどこかに希望を持ちとする続けようとする、人間の一般的な有り様が感じ取られ、とても美しい音楽であると思いました。ウルマンは1944年アウシュビッツのガス室で無くなっています。翌年には新オーストリア三人組の生み出したセリエリズムを基盤とする新しい音楽いわゆる現代音楽がダルムシュタットで研究をスタートします。ウルマンがあと1年長く生きていたらこの運動に希望を持って参加したのではないかとも思います。なお、このCDはウルマンの歌曲をすべて収めた全歌曲集です。ソプラノのイレーナ・トロウポヴァはこれらの楽曲を実に美しくそして丁寧に歌っています。ピアノのヤン・デュセックもむだのないえんそうをきかせてくれます。静謐で抑制されたまったく無駄のない演奏を聴かせてくれます。私は聴いていてすっかりこの二人の演奏に引き込まれ、不思議な感動に心を満たされ、充実した時間を過ごしました。

素晴らしいとしか言いようのない、見事な演奏で作曲家がこのように演奏してほしいと考えているのであろうという見事なピアノ演奏です。私にがない完璧ながない完璧な演奏でるとしか思えませんでした。このCDを聴いて、広瀬悦子というピアニストのCDを5タイトル注文してしまいました。お薦めします。

これはカール・レーヴェ(Carl Loewe:1796-1869)という人の歌曲全集です。21枚のCDと1枚のCD-ROMが4cmぐらいの厚さの紙のボックスに収められています。CD-ROMの方には、全曲の歌詞のドイツ語と英語で書かれたテキストが収められています。函の中には中央に円形のセロハン紙のようなものを貼ってあるエンベローブに1枚ずつCDが入れられているという体裁です。2007年にリリースされたもので、いささか頼りない外貌の箱とエンベローブではありますが、レーヴェの歌曲がこれですべて聴けて、15,000円に満たない価格でしたから、廉価版ボックスというものはありがたいものだと思います。私は目が大分悪いのでライナーノートは読めません。従って演奏家についても歌手についても、どのような音楽家であるのかということをお伝えすることができません。しかしながら1枚目の1曲目を耳にした瞬間に、私の心は固く結ばれていたひもがほろりとほどけるように柔らかくなり、すっかりその演奏に魅入られてしまいました。とても気持ちのよい歌声と、その歌声とコラボレートするピアノの音に本当に心地よい、だが決して単調な易しいものではない音楽に、心をすっかり奪われてしまいました。なぜなんだろうと思いふと考えついたのですが、その旋律がドイツ語の本来のイントネーションを壊すことがなく実に美しくきれいで澄明な聞き取りやすいものであることに思い当たり、レーヴェの歌曲作品の特徴はまずこの言語の韻律を損なわない見事なメロディーにあるのではないかと思いました。もちろん演奏も録音もこのレーヴェの音楽の美質を失わないようにと、丁寧にかつあくまで透明でくっきりとした美しいままにCDという媒体に写しこんでしまおうと思ったのではないでしょうか。ドイツ語という言葉の美しさ、それを詩として凝縮した詩人の巧みな言葉遣い、そういうものをまったく損なうことなく楽曲を組み立て、音楽作品として練り上げたレーヴェの作曲家としての高度な技能とすぐれた感性、それらが一体となってこの素晴らしい音楽は私たちの耳にまで届いてくれた訳ですから、このCDボックスを作り上げたcpoレーベルにとっても大きな仕事だったのではないかと想像します。本当に美しくて気持ちのよい、そしてまったく緩んだところのない優れた歌曲のコンパクトディスク・セットです。

私は今までIRCAM出身の作曲家達がみな音の響きを重視し似たような曲を書くのかということに疑問を持っていたのですが、このCDを何枚か聴いてその理由が分かったように思いました。指揮者のアルミン・ジョルダンの解釈が優れているのだと考えますが、フランス近代の音楽がそのオーケストレーションに於いて、典麗な煌めきといいますか繊細でなおかつ輝かしい響きを有しており、このような管弦楽法の継承を考えていたのではないかと思いつきました。この輝くようなフランス近世・近代の音楽の精髄に触れれば、その伝統を踏まえて現代の音楽を作り上げたいと思うのは当然のことであろうと思います。アルミン・ジョルダンの解釈は極めて優れたものであるというように思います。とても面白いCDセットです。お薦めします。

ジャン・ユボーという人は非常に優れたピアニストであると思いますが、あまりそのCDも出ていないようです。私はとても好きになりましたが、今のところ3タイトルしか持っていません。もっと売れていておかしくないと思うのですが、それが不思議でなりません。本当に素晴らしい演奏をする人です。特にこのフォーレのピアノ作品全集は値打ちものであると思います。お薦めします。

ハンク・モブレイの名盤ソウル・ステーションとロール・コールを2枚のCDにそのまま収めたコストパフォーマンスのよい優れもののCDです。お買い得な2枚組CDであると思います。お薦めします。。

ヤッシャ・ホーレンシュタインと言えば、髪の毛を振り乱して激しい演奏をする人であると思われる方もおられると思いますが、このボックスセットではで温厚で優しく繊細な音楽表現をする人であるという、本当の彼の素顔をよく見せてくれます。中にはヨハン・シュトラウスⅡのワルツを集めた一枚が含まれていたりと、編集も丁寧に行われていますし、和やかでなおかつピッタリと息の合った演奏ばかりです。リーフレットも入っていない廉価版ですが、充分に楽しむことができる優れたボックスセットです。お薦めします。

とても魅力的な演奏です。ジャン=ジャック・カントロフ指揮、リエージュ王立管弦楽団演奏、ソロイストは若い人が多く、新鮮で伸びやかな演奏を聴かせてくれます。カントロフはフランコ・ベルギー派の現代における最も優れたバイオリストであると思いますが、指揮者としても極めて有能な人であり、近世のロマン派音楽を実に鮮やかに、かつ的確に表現して聴かせてくれます。リエージュ王立管弦楽団はあまり知られていないかも知れませんが、フランコ・ベルギー派の牙城とも言えるリエージュで、質の高い演奏をしていたのであろうということを思わせる、音楽性豊かな素晴らしいオーケストラです。一聴することをお薦めします。

素晴らしい演奏です。理知的で抑制の効いたなおかつダイナミックで情感溢れる名演奏であると思います。

  • 1

(全23件)