バッハ主題によるコラージュ。バッハの音に作曲者が観ているものがある。トッカータ、サラバンド、リチェルカーレと3様態の収録。宗教にかかる雅と俗調とをともに把握。この一事が確認されなくてはペルトの初期作品の内訳は不分明のままならん。のちに音素の採集に苦闘する。世に静穏の美というものがあるが、それを以て評言に当てるのは論者の努力不足。黙は沈黙のいいである、と言ってその類の同語反復に果たして意味が発生するか。音には音を得よう。この人のメタ音楽には表現上の制限、表現対象が表現できぬ苦しみが潜在するものか。こればかりはインタビューするより他はあるまい。