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THE GO GO GO'S

連載
360°
公開
2010/12/07   19:59
更新
2010/12/07   19:59
ソース
bounce 327号 (2010年11月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/宮内 健

 

ウルフルケイスケがたくさんの仲間たちとSMILE! SMILE!させるよ!!

 

 

THE GO GO GO'S──〈GO〉がひとつ多く付いちゃう、そんなグイグイ突き進んで行く感じが、いまのウルフルケイスケの気分なのだろう。ウルフルズが活動休止してからメンバーはそれぞれのアクションを見せているが、なかでも彼はまるで百人組手でも行うかのように、さまざまなバンドやミュージシャンとのセッションを繰り返してきた。

「バンドって、もちろん4人の結束みたいなのはあるけど、一方で自分らだけで完結してしまう部分があって。もちろんそこがバンドの良さでもあるんやけど、どうせひとりでやるんやったら、正反対のことをしてみよう!って思ったんです。自分ひとりでいろんなところに行って、ギターをいっぱい弾いてみるうちにわかってきたのは、〈自分のギターってどんなんや?〉ってひとりで悶々と考えてるより、とにかくいろんなところへ行って、誰かと繋がって、そこで感想をもらったり、観てる人の反応を感じたりするほうが、より自分っていうものがわかるなあっていう。ちょっと足を一歩踏み出して繋がると、いろんな発見や再確認ができる。そう思うと、もっとどんどんいろんな人と繋がっていかなあかんなって(笑)」。

そうして繋がっていったミュージシャンたちと共に作り上げたのが、THE GO GO GO'Sのファースト・アルバム『Smile & Destroy』だ。ウルフルケイスケに加え、RUMIや鎮座DOPENESSの作品などでも注目のトラックメイカーであるSKYFISH、そしてVJのHEART BOMBの3人がこのプロジェクトの中心メンバーだ。そこにゲストとして、前述したRUMIや鎮座DOPENESS、異形レゲエDJのCHUCK MORISなどSKYFISH人脈の面々をはじめ、ウルフルケイスケと古くから親交のある安孫子義一(The ピーズ)や竹安堅一(フラワーカンパニーズ)、カトウタロウ(元BEAT CRUSADERS)らギタリストが集結。その他にもキーボードの池田貴史(100S)や勝手にしやがれのホーン隊、大西ユカリにうつみようこ、さらには映画「SRサイタマノラッパー」の主人公・MC IKKUが銀幕から飛び出してコラボし(ケイスケとラーメン屋で遭遇し、そのまま呑みに行って意気投合。そして参加に至ったとか)、ニール・エヴァンス(ソウライヴ)とキース・ショックリー(ボム・スクワッド)がリミキサーとして参加——とまだまだ紹介しきれないが、これほどまでに世代とジャンルを超越した作品も珍しい。

「なんせSKYFISHくんより、彼のお母さんのほうが年齢近いくらいやし(笑)。最初のイメージは、サーフ・ロックとかガレージみたいなインストをギターで弾いて、そこにSKYFISHが作るドラムンベースとかレゲエとか、そういうのが加わるとおもしろいやろなって。彼は想像のつかないリズムを出してくる。そのギャップがおもろいんです。僕は王道のロックンロール・ギターみたいなのしかできないんで、それをあえてそのままSKYFISHくんが作るトラックにぶつける。どっちも歩み寄れへん(笑)。自分を変えへんほうがおもしろいし、変えへんもん同士がいっしょになって上手いこといくとおもしろい。オレはオレ、向こうは向こう。そこには〈自分〉っていうものがないと成り立たない」。

それは、今回参加したすべてのミュージシャンに通じることでもある。

「その人ならではのムードを持ってて、音楽をユーモアを持って楽しんでる人ばっか集まったなって。例えば鎮座(DOPENESS)くんにしても、僕はラップの人とやるのは初めてやったんやけど、彼のリズムの取り方はすごい。ラップでも、歌うようにラップする感じもあったり、ものすごくユーモアがあって音楽を楽しんでる。それってスタイルは違うけどいっしょなんですよね。だからどういうことをしてほしいというよりも、とにかく鎮座くんの空気が曲に入ってほしかった。もちろん他のみんなもそう。それぞれの空気が欲しかってん!って。いい空気を持ってるもん同士が、いい空気のところでいい演奏をして、いい空気が連鎖していく。そのいい空気をCDに閉じ込める。気持ちとか空気とか、そういうものがまず大事なんちゃう?って。とにかく笑顔! 笑顔! SMILE! SMILE!で(笑)」。

そう答えながらニッコリと笑うウルフルケイスケの眩しいほどの笑顔は、底抜けに痛快なギターの音色そのものだし、そんな彼の〈SMILE力〉こそがTHE GO GO GO'Sに個性派たちを集わせる求心力なのだ。

 

▼関連盤を紹介。

左から、ウルフルズのベスト盤『ベストだぜ!』(ワーナー)、ウルフルケイスケが参加したcutman-boocheの2010年作『Hello?』(Pヴァイン)

 

▼『Smile & Destroy』に参加したアーティストの作品を紹介。

左から、Theピーズの2005年作『赤羽39』(STILL ALIVE)、BEAT CRUSADERSの編集盤『REST CRUSADERS』(DefSTAR)、勝手にしやがれの2008年作『マイ・ライフ...』(tearbridge)、100Sの2009年作『世界のフラワーロード』(FIVE D PLUS)、うつみようこ&YOCOLOCO BANDの2008年作『ADULT NOIZE』(TRIPPIN' ELEPHANT)、ソウライヴの2009年作『Up Here』(Royal Family)、BREMENの2008年作『Bianco Blanco』(ARTIMAGE)、ROCK'A'TRENCHのニュー・シングル“Music is my Soul”(ワーナー)