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(第8回)白夜の地下室/そこにあってふれられないものについてのディスクール・断章

ロンドンでの熱い催し

連載
BO NINGENの人生一度きり
公開
2013/09/30   14:00
更新
2013/09/30   14:00
テキスト
文/Kohhei Matsuda(BO NINGEN)


ロンドンでの熱い催し



そして、これも恒例の〈クラウトロック・カラオケ〉。友人のシンセ/パーカッション奏者・Kenさん主催のクラウト/ジャーマン・ロックをカヴァーする会。今回、僕は買ったばかりで使いたくてしようがないシンセで参加。Yuki君と2人でマニュエル・ゲッチング“Echo Waves”(余談ですがサイキック・パラマウントの名曲“Echoh Air”の元ネタとしか思えない。オマージュというか指摘してもらいたいんだと思うけど)、ニールズ・チルドレンのシドとYuki君、Kenさん、フラットメイト(にして元スクリーミング・ティー・パーティー、いまはソロでグリム・グリム)のコウイチくん、ベタ・バンドのドラムの人を加えてアモン・デュールなどを演奏。これは、やるほうはもちろんすごく楽しいんだけれど、決して自己満足で終わらない、全力で楽しもうという気概を持つ人々の集い。ロンドンの夜の新スポット。



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BO NINGEN・Yukiくんとマニュエル・ゲッチングを演奏中



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大雨にもかかわらず程良く混んでいる



それから、恒例となっている(今月はほとんど恒例のにしか行っていない。携帯がないので)、前述のコウイチくん主催の〈ミス・オブ・ザ・ファー・フューチャー〉でソロ演奏。BO NINGENでもよく演奏したパブ、Macbethにて。PAには元セルフィッシュ・カントのパトリック。この日は友人から借り受けているピック・ギターで、珍しくほぼ全編ギターのみによる演奏。即興音楽、20世紀の前衛音楽、サウンドトラック、最近のクラシック畑の人々との交流などからの影響を上手く統合させられたのではないかと思います。満足。他に元アドヴァート、現ニカブのエドガーも出演し、意外にも瑞々しい歌を聴かせてくれました。これからが楽しみ。そして、主催のコウイチくんによるグリム・グリム。多くは語りませんが、これは一度観ていただきたい。bandcampで音源も聴けます。平行世界のフォークロア、廃墟の歌。



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コウイチくんサウンドチェック。デスクにはパトリック。
どちらとも何回か対バンしましたし、結構長い付き合い



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それを観ながらビール。私のいつものGrolsch。隣にはサイモン・ファウラーとRed Stripe



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エドガー熱唱。グッド・メロディーの不思議な音楽



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未来派廃墟フォーク、グリム・グリム



最後に、おそらく9月最大のイヴェント〈ロンドン・オープン・ハウス〉。ロンドン中の普段は入れない建物(オフィスや廃墟など)を見学できる!という粋な趣向。早起きをして、フラットメイトたちと連れ立ってオープン2時間前に到着したのは、ピンク・フロイド『Animals』で有名なバターシー・パワー・ステーション。この建物のコンヴァージョンのプランが決まり、まあそれが控えめに言ってもかなりくだらないものなので、今回が現在の勇姿を拝むことのできる最後の機会かも……という触れ込みのせいか、僕らが到着した頃にはすでにちょっと気が遠くなるくらいの列。8年間住んだフラットの目の前ということもあり、感傷的な気分になりながら、しかし眠気のために白昼夢を漂いながら散策。この巨大さと美しさは言葉にできないです。写真にも捕えられていませんが……でもこんな感じ。いま思い返しても夢のなかみたいな気がする。こんな音を奏でたい。



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内側から。大聖堂。元火力発電所ですが



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巨大すぎて現実にあるとは思えない。ものすごいコラージュ/蜃気楼感



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内側から。屋根が取り払われてから20年ほど経つため、草が生い茂る。
あと100年もしたら立派な廃墟になっただろうに



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建物を背にして、南を見やると8年間住んだフラットが見える。少し感傷的に



10月には日本からN'夙川ボーイズを迎えてのデカいライヴ、カルトの前座としてUK/EUツアーと、楽しいイヴェントが待ち構えております。夢から覚めるのはいつになるのだろう。いまもBO NINGENの新作へ向けて、リアルな夢と白昼夢の現実との間をうろうろしながら作曲/研究/練習しております。来年には日本の皆さんにお目にかかれるでしょうか。それまでお元気で。



PROFILE/BO NINGEN



Taigen Kawabe(ヴォーカル/ベース)、Kohhei Matsuda(ギター)、Yuki Tsujii(ギター)、Akihide Monna(ドラムス)から成る4人組。2006年、ロンドンのアートスクールに通っていたメンバーによって結成。2009年にアナログ/配信で発表した『Koroshitai Kimochi EP』が現地で話題となり、〈Offset Festival〉をはじめとした地元メディアからも注目を集め、UKツアーのみならず、日本盤の発表後は日本でのツアーも成功させる。2011年にミニ・アルバム『Henkan EP』をリリース。最新作となるセカンド・アルバム『Line The Wall』(Stolen/ソニー)の日本盤も大好評。10月にロンドンで(N'夙川BOYSを招いての!)ヘッドライン・ショウがある模様。また来年1月にはオーストラリア各地を巡るフェス〈ビッグ・デイ・アウト〉への参戦も決定しております! また、10月2日にリリースされるでんぱ組.incのニュー・シングル“W.W.D II”(MEME TOKYO)の〈初回限定REMIX盤〉にて、“ノットボッチ…夏”のリミックスを担当しています。そのほか最新情報はこちらのサイトでチェック!