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連載

BURIAL

連載: 360°

掲載: 2012年02月08日 18:00

更新: 2012年02月08日 18:00

ソース: bounce 340号(2012年1月25日発行)

構成/編集部 文/入江亮平



ブリアルの新章を前にハイパーダブの歴史をおさらい!



Burial_A



近年のあまりにも広がりすぎた拡散情勢への反動か、〈ダブステップ・フォーラム2012〉のベスト・プロデューサーには、ジェイムズ・ブレイクも尊敬してやまないデジタル・ミスティクスのマーラが選出された。そのようにシーンの最コア部を引き受ける彼と並ぶ権威が、ハイパーダブを主宰して地下世界の(実際に大学でも)教鞭を取るコード9ことスティーヴ・グッドマン教授だ。ハイパーダブの設立は2004年。2ステップ/UKガラージのヒップホップ的な部分を強調したグライムがストリートに定着していくなか、そこではダブとの邂逅を経てダブステップと呼ばれるハイブリッドなベース・ミュージックが産声を上げてもいた。サウンド面ではグライムとの近似性を持ち、南ロンドンのローカル・コミュニティーで嗜好されてきたこの音楽をコード9はウェブマガジンでも発信していたが、その熱心な青年読者だったのが後のブリアルである。

〈ダブステップ〉が世界中で認知される起点となったブリアルの処女作は耽美なアンビエンスに包まれて、鋭利な金属音を不気味に刻みながら、グライムに注視してきたフリークスからベーシック・チャンネル系のミニマル・ダブ・リスナーまでの耳を瞬く間に虜にした。さらに、2007年の名盤『Untrue』を特徴づける亡霊のように物悲しく加工されたソウルの声ネタはクラブ・カルチャーの枠を超えて多くのリスナーの胸に染み込み、その後の不在を埋める多くの種を蒔いた。

一方のハイパーダブは、そのブリアルの台頭と同時期に大きな盛り上がりを見せたフライング・ロータスを筆頭とするLAビート・ミュージック新世代との接続や、アイコニカやダークスターといったオリジナルな才能の発掘を展開。現在第一線で活躍するジョーカーやゾンビー、マーティンらがその門を叩いている。そう書くとダブステップの過渡期を右往左往していたようだが、DMZがベース・カルチャーをいい意味で守り続けているのに対して、ベース・カルチャーを攻め続けるハイパーダブの姿勢に多くの逸材が吸い込まれていったと表現するのが正しいだろう。

そして今年、長い沈黙を経てブリアルがついに動き出す。昨年からの音源をまとめた今回の『Street Halo/Kindred』は来るサード・アルバムの前ぶれに他ならない。ダブステップという語義が激変したなか、何度コピーされて視界が曇ろうとも一聴してそれとわかる音像を携え、真打ちが新たなステップを踏み出そうとする様に、2012年は世界中が耳を澄ませているのだ。



▼関連盤を紹介。

左から、デジタル・ミスティクスの2010年作『Urban Ethics』(DMZ/Pヴァイン)、フライング・ロータスの2010年作『Cosmogramma』(Warp)

▼ブリアルの参加作を一部紹介。

左から、コミックスの2010年作『Re:Call To Mind』(Metalheadz)、ブレイキッジの2010年作『Foundation』(Digital Soundboy)、ジェイミー・ウーンの2011年作『Mirrorwriting』(Candent Songs/Polydor)

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