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カルメラ 『MIX MODERN COVERS!』

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公開
2012/02/01   18:01
更新
2012/02/01   18:01
テキスト
文/桑原シロー


8人のルーツや趣味性を露わにしたカヴァー・アルバムが到着!



カルメラ



ナニワのストリート出身の8人組インスト・バンド、カルメラが、ニッポンのイキのいいジャズ・バンドを紹介したコンピ『須永辰緒の夜ジャズ・外伝 ALL THE YOUNG DUDES~全ての若き野郎ども~』に大抜擢されたのは2010年のこと。以後は『Hello!!ワールドワイド』『KNACK IS THE KETCHUP』と精力的かつコンスタントにアルバムのリリースを重ねてきたが、各方面での評判も上々。ジャズやラテンやソウルやロックなどさまざまな具がたっぷり詰まったカルメラ・ワールドのおもしろさはすでに広く浸透しつつある。そんな彼らの3作目『MIX MODERN COVERS!』は、初のカヴァー・アルバムとなった。

冒頭に据えられたのは、〈ホンワカパッパ〉と幕が上がるピー・ウィー・ハント“Somebody Stole My Gal”。関西人ならばメロディーを聴いただけでお腹がグーと鳴るだろう、〈吉本新喜劇〉のテーマとしておなじみのこのディキシーランド・ジャズ・ナンバーに続いては、吉本新喜劇オールスターズが歌ったラテン歌謡“エクスタシー”をキダ・タローの名作“かに道楽”の一節を交えながらクールなサンバ・テイストで料理。メロウなファンクに仕上がったディジー・ガレスピーの“A Night In Tunisia”、 アッパーなロック・チューンに変身したミッチー・ミラーで知られる“The Great Escape March”ほか、アレンジの妙も全編において冴え渡っている。

このヴォリュームたっぷりな感じは、どこか2006年のオリックス・バファローズが打ち出した伝説の〈ミックスモダン打線〉を彷彿とさせるじゃないか、などとアルバムのタイトルを眺めながら思う。1、2番の選曲といい、本作のテーマはとにかく、カルメラのルーツや趣味性、それにメンバーの嗅覚などをあきらかにすることなのだろうとわかる。そんななかで、今回のハイライトは間違いなく打順で言えば清原和博に当たる5番にあり。ライヴでの共演も行っているakikoを迎えたルイ・ジョーダン“Choo Choo Ch’ Boogie”のカヴァーは、大のジャンプ&ジャイヴ好きで知られる彼女と組んだだけあって、めっぽう陽気にジャンピン・ジャイヴ! でっかいホームランをカマしてくれている。今回もホクホクで楽しめる一枚だ。