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連載/コラム

『いのちもやして、たたけよ。「鼓童」三〇年の奇跡』

掲載: 2011年10月18日 13:02

ソース: intoxicate vol.93(2011年8月20日)

text:渡部晋也

過去から未来へ──30年の歴史と、現在の鼓童

和太鼓ほど誤解を受けやすい芸能はない、ということを折に触れて言い続けている。太鼓そのものは日本古来から伝わるものだが、それを用いた舞台となると、 1960〜70年代を待たなければならない。そのルーツをたどればいくつかの流れになるのだが、舞台でのスタイルを確立し、太鼓を世界に持ち出したことで いえば鼓童とその前身としての鬼太鼓座を挙げるべきだろう。

ところが、そんな鬼太鼓座や鼓童がそもそもどうして発生したかということはあまりはっきりとまとめられていなかった気がする。鬼太鼓座を主宰した田耕氏(故人)がなぜ太鼓を用いることを発想し、佐渡をフィールドに選んだのか。どのように周囲を巻き込み、世界に飛び出していったかは、和太鼓による舞台のルーツの一部として非常に重要な部分だが、あえて避けられているかのように、はっきりとしなかった。

今年30周年を迎えた鼓童自らが出版した本書の前半は、田氏が動き出す50年代から、鬼太鼓座の誕生。内部の意見が合わず、佐渡での鬼太鼓座を解消し、残ったメンバーが鼓童を引き継いでしばらくまでが詳細に書かれている。そこには民俗学者の宮本常一氏、デザイナーの島崎信氏など様々な世界の人々が登場し、鬼太鼓座、そして鼓童が単に同好の士が集ってできたのではなく、一つの社会運動ともいえるムーブメントであったことを解き明かしている。

さて、後半もそのまま歴史を振り返るのかというと、そうはいかないのが鼓童らしいところで、メンバーからスタッフ、そして個々の活動まで、様々な方向からスポットを当てて「現在の鼓童」をクローズアップさせる試みがなされている。なるほどそのおかげで本書は単なる回顧録ではなく、鼓童のこれからを想像させる、予想図とでもいうべき本に仕上がった。

強烈な太鼓のビートに魂をふるわせるものいいが、その周辺にあるストーリーを拾い上げて見るのもまたおもしろい。そんなことを改めて感じさせてくれる一冊だ。

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