
最新作『淫ビテーション e.p.』では、タートルズ“HAPPY TOGETHER”を〈結婚行進曲〉とのマッシュアップ的にカヴァーするという離れ業を披露したMONOBRIGHT。そのぶっ飛んだセンスはまだまだ絞り出せるはず! ……ということで、今月から始まる短期集中連載。サディスティックな〈姉さん女房〉が出すお題を元に、残る4人がぶっつけでMONOBRIGHT流のカヴァー曲を提案します。その音楽バカぶり丸出しの会話をお楽しみください……!!
今月のお題〈モノラル録音の曲〉
ヒダカ「じゃあ、MONOBRIGHTだけに〈モノラル録音の曲〉っていうお題で」
桃野「僕はやっぱジミヘンですかね。5人でガッツリやるっていうのもおもしろそうだし、イジリがいがある。コッテコテなのがいいですよね。“Purple Haze”とか」
出口「僕は……王道と言うのも憚られる、チャック・ベリーとかボ・ディドリーとかを」
ヒダカ「“Johnny B. Goode”とか?」
出口「そう、あのリフを全然違う視点で……リズムを全然違うものにはめてみたりとか」
ヒダカ「3コードっていう制約があるのをどうズラすか、ね」
出口「そこの解釈をどんどん加えていって」
桃野「(笑)すごく細かい楽しみ方だね」
ヒダカ「でもそれ、わかる。たぶん、DJのリミックス感に近いんだろうね。ランDMCの“Walk This Way”とかまさにそうだったし。エアロスミスのベタなハード・ロック感って、当時はどっちかというと〈時代遅れ〉って思われてたものだったけど、〈こうなるんだ〉っていう驚きがあったからね。松下さんは?」
松下「パコ・デ・ルシアとか。年代がわかんないですけど、ああいうフラメンコを5人でやったらおもしろいんじゃないかな」
ヒダカ「ジプシー・キングスとかは、そういうことだよね。あとロス・ロボスってすごいんだなって思う。みんな知ってるのは〈ラ★バンバ〉のテーマ曲だと思うけど、実はあれだけじゃない。裏テーマみたいな、迫害されてた民族の怒りや悲しみをモダンな音楽――ロックにしてくみたいなテーマがちゃんとあって。タッキーはどう?」
瀧谷「レイ・チャールズとか」
ヒダカ「いいんじゃない? 羨ましいのは、事務所の大先輩の桑田(佳祐)さんの曲をレイ・チャールズがカヴァーしてるっていう。“いとしのエリー”とかやってるもんね。あれはミュージシャン冥利に尽きる。だから、レイ・チャールズがやった“いとしのエリー”を、さらに俺たちがカヴァーすればいいんだよ(笑)」
桃野「結局“いとしのエリー”になっちゃう(笑)」
松下「OKは向こう(レイ・チャールズ)サイドに取りにいく(笑)」
ヒダカ「R&B系いいね。意外とないもんね。でもまあ……さんざん話したけど、自分にとってのルーツっぽいものをやるとしたら何かってことだよね」
松下「僕は、兄貴の部屋の音楽図書館ですね。R&Bからハード・ロック、メタルまで全部」
桃野「僕は、何を探ってもXTCに辿り着くな~。ユニコーン然りで」
ヒダカ「となると、ビートルズだね。モノラル盤も出たことだし。じゃあ、ビートルズでカヴァーするなら」
桃野「これだけしゃべって、結局ビートルズ(笑)」
ヒダカ「じゃあ、タッキーの好きなビートルズ・ナンバーは?」
瀧谷「『Revolver』の1曲目」
ヒダカ「“Taxman”いいね。ジミヘン風にもやれそうだし、ベタに4つ打ちもアリだし」
桃野「タートルズのカヴァーで味をしめたとこもあるんですけど、ああいう暗く感じる曲でもあれだけ明るくなるんだったら、それこそ“Julia”みたいな、ああいうのをめっちゃポップにするみたいなのもおもしろい気はしますね。基本、ジョンかポールの弾き語り系の曲を」
ヒダカ「“Blackbird”とか。カヴァーされてそうだけどね、ハウスの人とかに。そう言えば、ダヴズのメンバーとかはそうだよね。元々ハウス・ユニットでデビューしてスマッシュ・ヒット飛ばして(注)、時代と共に廃れたから〈もう一回やり直すぞ〉ってダヴズになって。全然違うよ、前のバンドの音源は。あんなシリアスなロックじゃなくて、お気楽な、ハッピー・ハウスな感じで。じゃあまとめると、“Taxman”を4つ打ちカヴァー?」
注:サブ・サブとしてリリースした“Ain't No Love”(93年)がヒット。
桃野「俺らこれだけしゃべって、採用はタッキーの案(笑)」
ヒダカ「んじゃ、“Julia”を4つ打ちカヴァーで」
桃野「内容、めっちゃ薄くなりそうですよね(笑)」
PROFILE/MONOBRIGHT
2006年、桃野陽介(ヴォーカル/ギター/キーボード)、松下省伍(ギター)、出口博之(ベース)、瀧谷翼(ドラムス)の4人で結成し、2007年にメジャー・デビュー。2010年2月、突如〈2011年の春までに4枚目のアルバムをリリースする〉と宣言し、10項目を掲げた〈DO10!!〉プロジェクトを開始。3枚のシングルに続いてサード・アルバム『ADVENTURE』を発表すると共に4作目『ACME』のダイジェスト盤も配布……した直後の11月、これまた突然に元BEAT CRUSADERSのヒダカトオル(ヴォーカル/ギター/キーボード)が新メンバーとして電撃加入! 今年1月には5人組バンドとしての初音源『淫ビテーション e.p.』をリリースし、さらには3月2日にタイトル未定の両A面シングル(DefSTAR)も控えている。そんな怒涛すぎる彼らのスケジュールは、オフィシャルサイトでご確認ください!!