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連載/コラム

HAIR METAL

連載: Di(s)ctionary

掲載: 2010年09月28日 19:21

更新: 2010年09月28日 19:22

ソース: bounce 324号 (2010年8月25日発行)

特別講師/増田勇一

 

I ヘア・メタルの成り立ちと特徴

 

 

今回の講義内容は〈ヘア・メタル〉。つまり毛髪に大きな特徴を持つメタルです。その語源には〈髪型を整えることにばかり時間をかける軟派ども〉といった侮蔑的な匂いが含まれていることも否めません。が、日本では同意語として考えられがちな〈LAメタル〉という呼称が出身地を、〈グラム・メタル〉といった形容が音楽性を限定するものであるのと違い、この言葉は良い意味での曖昧さをもって、〈ヘア・スプレー不可欠な80sメタル〉を総称しているのです。あえて音楽的な傾向を言うなら、正統派メタルの様式以上に〈カッコ良さ〉を重んじたロックンロール寄りのアプローチをするバンドが目立ちますが、いわゆる〈産業ロック〉的なバンドや技術至上主義型のバンドの多くもヘア・スプレーを必需品としていた時代ですから、厳密に特定することには無理があります。

 

 

そもそもメタル・バンドが毛髪や視覚要素を重視するようになったのは、80年代にUSの音楽シーンがMTV主導型になったことと無関係ではありません。発祥地はやはりハリウッド。当時のシーンに溢れていたのは、キッスやエアロスミス、ヴァン・ヘイレンを直接的なルーツとする世代のバンドでした。彼らは破れたTシャツとレザーを身に纏い、ヘアメイクにこだわりながらゴージャスでセクシーなイメージを打ち出そうと目論んだのです。結果、同じような外見のバンドが異常増殖することになったのは皮肉なものですが、少なくとも80年代半ばから後半にかけて、無骨なスラッシュ野郎ども以外ほぼすべてのメタル・バンドには〈時代遅れにならないために、そうした手法を取るべき必要〉があったと言えます。

当時、多くのバンドは、豊かな髪の毛をなびかせながら異性の視線を集めることに躍起になっていました。LAにはその種のバンドマン御用達のヘア・サロンもあり、金髪のシンガーを擁するという単純な理由で浮上のきっかけを掴んだバンドも皆無ではありません。ただ、なかには本当に中身のないバンドもいましたが、ヘア・メタルと総称されるカテゴリーのなかで幾多の名盤が生まれ、後続世代がロックに目覚めるきっかけとなったのも事実なのです。

 

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