憧れのアーティストたちといつもの酒場で出くわして――武藤昭平、勝手に深夜がれの妄想話はまだまだ続く……
31時。つまり朝の7時。酔っ払ったジム・モリソンもいなくなって、静けさを取り戻したここ〈Bar YAMAGA〉だった。が、その静寂を切り裂く男がまた現れた。ミック・ジャガーを送るために一度店を後にしたこの俺、武藤昭平と、「マジっすか? 俺帰ろうとしてたんすよ。参ったなあ……」「まあまあまあ、せっかく会ったんだから」と俺に話しかけながらいっしょに店に入る男、the HIATUSでも活躍中のベーシスト=ウエノコウジである。扉を開けると、俺は馴染みの顔を発見した。「つうか、お前は何してんだよ!? こんな朝っぱらから!」「ああ、まあ……」。勝手にしやがれのピアニスト、斉藤淳一郎だ。
「まあ何か飲もうや。スイマセ~ン、レモンサワーを1つください」。そう言うウエノに合わせて俺と斉藤も酒を注文。とりあえず乾杯をすることに。「はい、お疲れチャ~ン。カンパ~イ。つうか、サイトー! お前こんな時間から何してんだよ、サイトッ!」と斉藤に絡むウエノ。「ああ、まあ……。実はTHE SAX NIGHTを観に行って終電がなくなったんで、まんが喫茶で始発待ちして帰ろうかと思って……」、「まんが喫茶かよ!」、そう突っ込むウエノに、帰ろうとしていた俺とたまたま出くわした斉藤が捕まり、あえなく〈Bar YAMAGA〉で飲み直すことになったわけだ。さらにウエノ「あ、昭平。俺はさあ、こんなにサイトーに突っ込んでるけど、勝手のメンバーじゃないからな。スマンな」。そう言うウエノに俺が返す。「斉藤だからいいですよ。つうかウエノ君、HIATUSのツアー中じゃないんですか?」「うん、そうそう。でもちょうどこの何日かは空いてんだよ。だから久しぶりに飲み歩いてんの」「ああ、そうなんだ。じゃあ他のメンバーとかも飲み歩いてんすか?」「どうかな~。少なくとも細美(武士)は飲んでないと思うよ。あいつは喉が結構デリケートだからなあ……。おいっ、サイトー! 何か喋れよ、コノヤロ~!」。
そんなやりとりの最中、一人の男が現れた。「おう、ムトウじゃねえか。おはよう」「おお、お久しぶりです。トムさん」。そう、トム・ウェイツが店に現れたのである。
……武藤昭平、あくまでも妄想の話。
深夜の妄想盤
the HIATUS
『Trash We'd Love』 フォーライフ(2009)
Radio Carolineの活動休止に伴い、ウエノさんが現在もっとも時間を割いているバンド。リーダーの細美さんはELLEGARDEN時代から喉が弱かったそうですが、何より物凄い完璧主義者らしく……ツアー中は禁酒!? あまり根詰めてないで、たまにはウチの店で騒ぎしましょうよ!
THE SAX NIGHT
『ロックンロールオーケストラ登場!!』 UKプロジェクト(2009)
勝手にしやがれの飯島さんを核とする7本のサックス隊が格好良い、ダンディーなロック盤です。斉藤さんも終電を逃してしまうほど、ライヴに定評のある彼ら。ぜひ一度当店でもセッションを……と言いたいところですが、あまりの音圧に酒瓶が割れちゃいますかね?
PROFILE
武藤昭平
ジャズとパンクを融合させたオリジナルなサウンドで人気の伊達男音楽集団、勝手にしやがれのドラマー/ヴォーカリスト。タワレコ30周年を記念したファースト・ソロ・シングル“至福の空 ~NO MUSIC, NO LIFE.~”(tearbridge)も要チェック! 12月26日(土)には下北沢・CLUB251でDJを行うとのこと。詳細は〈www.katteni-shiyagare.com〉で!!