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第188回 ─ 祝デビュー30年! どうしてスリッツはこんなに気持ちイイの?

スリッツを巡る音楽の果実はここに一本のトゥリーを生んだ (その2)

連載
360°
公開
2009/10/21   18:00
ソース
『bounce』 315号(2009/10/25)
テキスト
文/カシワサン、北爪 啓之、柴田 かずえ、山西 絵美

VIVIAN GIRLS
『Everything Goes Wrong』
 In The Red(2009)
チックス・オン・スピードやカレン・O、ゴシップへと受け継がれたスリッツを源泉とする女子パンク魂が、今度はNYで活動中のこのプッシーちゃん3人組にズボッと挿入された模様。挑発的にギター・ノイズをカマしてもどこかチャーミングで、割れ目師匠とラモーンズと足したような学園祭ノリがたまりません。*山西

SIOUXSIE AND THE BANSHEES
『Join Hands』
 Polydor(1979)
ドラマーのバッジーはスリッツ脱退後にバンシーズへ加入し、スージーと16年に渡る結婚生活を送った人物(彼ったらお転婆好きなのね!)。また、元バンシーズ~アダム&ジ・アンツのマルコ・ピローニはスリッツ復帰後のEPを一部プロデュース。共にポスト・パンク界に女性上位時代の夜明けを告げたこのバンドとは、接点が盛りだくさんだよ! *柴田

REBEL FAMILIA
『GUNS OF RIDDIM』
 POSITIVE(2007) 
暴力的なベース音に誘われて、マックス・ロメオやShing02らメッセンジャーが大挙した本作。その冒頭曲でマイクを任されているのが、他でもないアリ様だ。常に反骨心剥き出しの2人が作る、黒くて太くて硬ったいレベル・ミュージック! そりゃ、〈スリッツ〉と合体して悪いわけがないのですよ。*カシワ

LILY ALLEN
『It's Not Me, It's You』
 Regal(2009) 
いつの間にか削除されていたけど、デビュー当時のバイオには〈スリッツの元メンバーが母親だ〉ってありましたよね? まっ、それが嘘だったとしても、リリーの音が割れ目から出てきたことに変わりはないわけで。カリブ音楽への接近、女子目線でズバズバ世間を斬っていく歌詞、アナタは立派なチルドレンですよ! *柴田


DUBBLESTANDART/LEE PERRY/ARI UP
『Return From Planet Dub』
 Groove Attack/Collision(2009) 
アリのソロ・ツアーにもバック・バンドとして同行したウィーンのダブ・ユニット、ダブルスタンダートが舵を取った宇宙行きの2枚組。ダイナミックな演奏の上で、リー御大に負けじと自由奔放な歌唱を聴かせるアリの姿が微笑ましい。気持ちだけは『Cut』の時のまま? *カシワ

EBONY BONES!
『Bone Of My Bones』
 Sunday Best(2009) 
さまざまな人種が行き交うロンドンでカリブ系移民の子孫として生まれた彼女は、コンシャスなメッセージをパンキーなサウンドに乗せてワイワイ聴かせてくれるシンガー・ソングライター。そう、ド派手なスパッツの下にはしっかりとスリッツ印が切り込まれているのです。*柴田

SAMIA FARAH
『The Many Moods Of Samia Farah』
 Sam/BEAT(2009) 
〈レゲエと結婚した女性パンク・ロッカー〉ことアリと同じく、異なる畑からキャリアを開始するも(この人の場合はジャズ)、ジャマイカ音楽にズッポリはまってしまった彼女。アンニュイな歌唱はアリと真逆ながら、シャーウッドやマーク・スチュワートの作るサウンドと好相性を見せ、立ち位置的には〈ポスト・スリッツ〉と呼ぶに相応しい。*カシワ