THE SLITS
『Cut』 Island/ユニバーサル(1979)
処女作にして、このガールズ・バンドのキャリアを、そしてポスト・パンク/ニューウェイヴ期を代表する名盤。デニス・ボーヴェルがプロデュースし、UKにおいて不可欠な要素であるレゲエ/ダブとのハイブリッドを語るうえでもスルーできない一枚だ。時代を反映した粗削りな音作りもどこかキュートな印象。30周年記念のデラックス盤が出たばかり。
THE SLITS
『Bootleg Retrospective』 Y/Rough Trade
ポップ・グループをはじめ、錚々たるバンドが所属していたYでコンパイルされた〈オフィシャル・ブートレグ〉。その名の通りラフながらもレアな音源ばかり。リイシューされたCDには、エイドリアン・シャーウッド制作によるジョン・ホルト&パラゴンズ“Man Next Door”(マッシヴ・アタック版も有名)のカヴァーなどが追加収録。
NEW AGE STEPPERS
『New Age Steppers』 On-U(1980)
UKダブの震源地、ON-Uの第1弾アルバム。総帥エイドリアン・シャーウッドみずからが企てたこのスーパー・プロジェクトにはアリ、さらにはヴィヴが参加していて、スリッツ“Animal Space”のダブ解体ヴァージョンも収められている。リリースから30年近く経ったいまもなお新鮮な衝撃を受けるダブ・クラシック。
THE SLITS
『Return Of The Giant Slits』 Epic(1981)
〈大地の音〉が響いたり、レゲエやトロピカルなリズムが鳴ったり、アヴァンギャルドなジャズを思わせたりと、好奇心旺盛なアリたちらしい雑食性を高めた2作目。『Cut』に続き、デニス・ボーヴェルが妖術的なダブを構築したほか、流動的だったドラムスはポップ・グループのブルース・スミスが務めている。これを最後にバンドは活動停止へ。

ARI UP
『Dread More Dan Dead』 Groove Attack/Collision(2005)
後に数多く登場するエレクトロ系ディーヴァのプロトタイプだったのかも……そんなことを思わせる待望のファースト・ソロ・アルバム。ダンスホール、ブレイクビーツ、ドラムンベースなど流石にサウンドは現在的だが、雑食性は変わらず。彼女の自由奔放なヴォーカルが健在であることも嬉しく、よりパワフルに成熟していたことに驚かされた。
THE SLITS
『Revenge Of The Killer Slits』 S.A.F.(2006)
アリのソロ2作目が届いたかと思いきや、テッサを引き連れ、伝説のバンドが四半世紀を経てまさかの復活。その第1弾となったEPには、ダークでヘヴィーなビートにアリたちのヴォーカルが踊る“Slits Tradition”、セルフ・カヴァー曲“Number One Enemy”、ドラムンベースとの相性の良さを聴かせる“Kill Them With Love”の3曲を収録。