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第188回 ─ 祝デビュー30年! どうしてスリッツはこんなに気持ちイイの?

スリッツを知るための必要不可欠盤! これを聴かなきゃ始まらない!!

連載
360°
公開
2009/10/21   18:00
ソース
『bounce』 315号(2009/10/25)
テキスト
文/栗原 聰

THE SLITS
『Cut』
 Island/ユニバーサル(1979)
処女作にして、このガールズ・バンドのキャリアを、そしてポスト・パンク/ニューウェイヴ期を代表する名盤。デニス・ボーヴェルがプロデュースし、UKにおいて不可欠な要素であるレゲエ/ダブとのハイブリッドを語るうえでもスルーできない一枚だ。時代を反映した粗削りな音作りもどこかキュートな印象。30周年記念のデラックス盤が出たばかり。

THE SLITS
『Bootleg Retrospective』
 Y/Rough Trade
ポップ・グループをはじめ、錚々たるバンドが所属していたYでコンパイルされた〈オフィシャル・ブートレグ〉。その名の通りラフながらもレアな音源ばかり。リイシューされたCDには、エイドリアン・シャーウッド制作によるジョン・ホルト&パラゴンズ“Man Next Door”(マッシヴ・アタック版も有名)のカヴァーなどが追加収録。

NEW AGE STEPPERS
『New Age Steppers』
 On-U(1980) 
UKダブの震源地、ON-Uの第1弾アルバム。総帥エイドリアン・シャーウッドみずからが企てたこのスーパー・プロジェクトにはアリ、さらにはヴィヴが参加していて、スリッツ“Animal Space”のダブ解体ヴァージョンも収められている。リリースから30年近く経ったいまもなお新鮮な衝撃を受けるダブ・クラシック。

THE SLITS
『Return Of The Giant Slits』
 Epic(1981) 
〈大地の音〉が響いたり、レゲエやトロピカルなリズムが鳴ったり、アヴァンギャルドなジャズを思わせたりと、好奇心旺盛なアリたちらしい雑食性を高めた2作目。『Cut』に続き、デニス・ボーヴェルが妖術的なダブを構築したほか、流動的だったドラムスはポップ・グループのブルース・スミスが務めている。これを最後にバンドは活動停止へ。


ARI UP
『Dread More Dan Dead』
 Groove Attack/Collision(2005) 
後に数多く登場するエレクトロ系ディーヴァのプロトタイプだったのかも……そんなことを思わせる待望のファースト・ソロ・アルバム。ダンスホール、ブレイクビーツ、ドラムンベースなど流石にサウンドは現在的だが、雑食性は変わらず。彼女の自由奔放なヴォーカルが健在であることも嬉しく、よりパワフルに成熟していたことに驚かされた。

THE SLITS
『Revenge Of The Killer Slits』
 S.A.F.(2006) 
アリのソロ2作目が届いたかと思いきや、テッサを引き連れ、伝説のバンドが四半世紀を経てまさかの復活。その第1弾となったEPには、ダークでヘヴィーなビートにアリたちのヴォーカルが踊る“Slits Tradition”、セルフ・カヴァー曲“Number One Enemy”、ドラムンベースとの相性の良さを聴かせる“Kill Them With Love”の3曲を収録。