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第1回 ─ 〈フジロック〉予習編! 参戦する編集部員たちの観覧シミュレーション&推薦盤!!

★マーク・アーティストの作品を一挙紹介(Part.2)!

連載
オレらの夏フェス 予習・復習帳 '09
公開
2009/07/22   18:00
更新
2009/07/29   18:51
テキスト
文/bounce.com編集部

LILY ALLEN『It's Not Me, It's You』 Regal/EMI Music Japan(2009)

流産や別離を乗り越えて、やっとリリースに漕ぎ着けたセカンド・アルバム。みずからスキャンダラスな私生活を赤裸々に暴露しまくって、すでにプロモ体制も万全!? だが、そういった歯に衣着せぬ物言いこそが彼女の魅力で、怖いものナシのパンクな生き様は本作の歌詞にも活き活きと映し出されている。常に毒づき、皮肉たっぷり。しかも喚き叫ぶのではなく、とびきりラヴリーな旋律に乗せてというのがこの人の落としどころ。とにかくメロディー作りのセンスには舌を巻くしかない。共謀者はプロデューサーのグレッグ・カースティン(バード・アンド・ザ・ビー)。牧歌的でまろやか、口当たりは良いが歌ってることは過激 ──スキップしながらお花畑を踏みにじっているかのようだ。(村上ひさし/bounce 2009年03月号掲載)

MAJOR LAZER『Guns Don't Kill People, Lazers Do』 Downtown/HOSTESS(2009)

バイリ・ファンキなどのモードをシーンに持ち込んできたディプロと、フィジェット・ハウスを世に広めたスウィッチ。先鋭的なダンス・ミュージックはいまや彼らを中心に回っていると言っても過言ではないですが、そんな旬の2人が噂のユニットをついに始動! 今回2人がリズムの下地に選んだのはダンスホール・レゲエ。TOKやヴァイブス・カーテルなど一線級の強者たちを招いてジャマイカで録音した気合も十分ながら、そこはこの2人のこと、もちろんただのダンスホールはやりません。サンティゴールドをフィーチャーして西部の荒野を暴れ回るかのような激しいオープニングから終始脱線しっぱなしで、スパイスの効きまくったゲットー・ビーツの連発! とにかく予想以上の化学反応につき、取り扱いにはご注意を。(田中直樹/bounce 2009年07月号掲載)

M83『Saturday=youth』Virgin France/EMI Music Japan(2008)

シューゲイザーの耽美さをエレクトロニカに落とし込んだ確信犯=M83の3枚目は、カット・コピーやハーキュリーズ・アンド・ラヴ・アフェアと共鳴するかのようにエレポップ色が濃厚な作品に。どこかイタロ・ディスコを匂わせるへっぽこ4つ打ち“Couleurs”など、ユニットの持ち味である〈深遠な音世界〉に、下世話な音がドクドク注入されているのが妙に艶かしい。シューゲイザーがダンス化した先に何があるのか、その片鱗が本作では窺えるはずだ。(ヤング係長)

neco眠る『Even Kick Soysauce』DE-FRAGMENT(2009)

初作が話題を呼び、ライヴの誘いがひっきりなしという彼ら。そのように猫の手も借りたいほど(!?)に大活躍のなか、BIOMAN(=OORUTAICHIの弟!)が加入して初のミニ・アルバムをリリースしました。二階堂和美を迎えたDODDODOのカヴァーをはじめ、お囃子ビートとオリエンタルなムード音楽を配合した、エキゾチカ・パンクな生醤油ディスコがたっぷり。スタジオ盤以上にロックなライヴ音源も収録され、ミニなのに9曲入り! (田中将稔/bounce 2009年08月号掲載)

OASIS『Dig Out Your Soul』 Big Brother/ソニー(2008)

7枚目となるニュー・アルバムは、バンドとしての黄金期を迎えた前作をも凌駕する出来映えだ。4人の天才ソングライターから湧き出る普遍的なメロディーが毛穴から神経に直接作用するかのような、体感型のロック・チューンが満載され、キャリア史上もっともグルーヴィーで疾走感溢れる内容となっている。Aメロ →Bメロ→サビといった従来のメロディー・パターンを崩しつつも、軸はいつものオアシス! やっぱり彼らは凄いよ! (白神篤史/bounce 2008年10月号掲載)

RAFVEN『Welcome To Foxshire』 Rafven/UNCLEOWEN(2009)

酒場の喧騒から聞こえてくる、異国情緒たっぷりな調べの陽気なスウィング──そんな映画のワンシーンを想起させるスウェーデンのジプシー・パンク楽団が日本デビューだ。管楽器、フィドル、アコーディオンが奏でる旋律は東欧のクレズマーやアイリッシュ・トラッドに通じるも、良くハネるリズム隊に各パートがビシビシと切り込んでいく様は実にロッキンで、その掛け合わせに惚れ惚れしてしまう。他にもゴーゴル・ボルデロをグッとクールにしたようなレゲエ曲や、スウィングから鮮やかにファンクへと舵を切るダンス・チューンなど先の読めない曲展開は、アルバム・タイトルよろしく、まさにキツネにつままれているよう。踊りながら演奏するという圧巻のライヴ・パフォーマスは今年の〈フジロック〉で確認すべし! (岡本大輔/bounce 2009年07月号掲載)

ROYKSOPP『Junior』EMI France/EMI Music Japan(2009)

結成10周年の節目を飾る新作は、まるで祝典のような幸福感に満ち充ちた内容。キラキラしたメロディーとドリーミーな世界の中で、楽しげにビートが脈打ち、リッケ・リーやロビンらの歌声が伸びやかに舞う爽快な楽曲をアルバム冒頭から連発されると、思わず顔もほころびます! そんな和やかなムードのなか、ナイフのカリン・ドレイヤー・アンダーソンが緊迫感のある声でスパイスを添えているあたりも聴きどころ。(青木正之/bounce 2009年04月号掲載)

SEUN KUTI & EGYPT 80『Many Things』Tot Ou Tard/PLANKTON(2008)

フェラ・クティの遺児で、かねてから話題になっていたシェウン・クティがついにデビュー・アルバムをリリース! この内容が親の七光りなど微塵も感じさせない素晴らしい仕上がりで、〈近年の世界的なアフロビートの盛り上がりにおける決定的な一枚の誕生!〉と思わず膝を打ってしまったほど。フェラのバック・バンドでもあったエジプト80の強烈にシンコペーションするアッパーな演奏をバックに、ドスの効いた黒々とした声で吠え、激しくアルト・サックスを吹き鳴らす。その姿はあの燃えるような全盛期の父親を思わせ、どの曲からも〈本物〉の存在感と説得力が匂い立ってくるかのよう。偉大な父の精神を真正面から受け継いだ、誇り高い一人の若者が作り上げた現代アフロビートの大傑作。必聴です。(西尾洋儀/bounce 2008年07月号掲載)

サニーデイ・サービス「Teenage Flashback 1995-2000」ミディ(2008)

プロモ・クリップを中心に構成された映像集〈Teenage Flashback〉シリーズの全2作がようやくDVD化! 〈ソカベ若ぇなあ〉なんて感心してるのも束の間、楽曲をさらに盛り立てる素敵な映像世界にグイグイ引き込まれてしまいます。30分にも及ぶ“さよなら! 街の恋人たち”のショート・ムーヴィーや、未ソフト化だった98年以降のシングルのプロモ・クリップなども追加収録。(久保田泰平/bounce 2009年01、02月号掲載)