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第91回 ─ ROSE

曽我部恵一BAND ⇔いまの時代に必要なのは、こんなロックなんだ!

連載
Discographic  
公開
2009/06/24   18:00
更新
2009/06/24   18:01
ソース
『bounce』 311号(2009/6/25)
テキスト
文/宮本英夫

  曽我部恵一withOO TELESAを母体とし、2006年に結成された曽我部恵一バンド。曽我部自身が〈銀杏BOYZに衝撃を受けた〉と語っている通り、ダイレクトに感情を揺さぶるという意味での〈パンク〉をキーワードとし、バンドならではの呼吸、間、アイコンタクトなどを重視した生々しいサウンドを追求している。初作『キラキラ!』はそのコンセプトの原型で、パワー・ポップのようにも青春パンクのようにも、70'sフォークをパンク・スタイルで蘇らせたようにも聴こえる、肯定的なパワーが漲った楽曲がズラリと並ぶ。奥さんと子供の名前を織り込んだ楽曲など歌詞もプライヴェート色が濃い。

 そしてこのたび発表された2作目『ハピネス!』も『キラキラ!』の延長線上にあるが、全曲一発録りによって1日で仕上げたというダイナミックな音作りは前作以上に徹底されている。シンプルで明るい曲が多いなか、前作にはなかったバラードや、〈世界〉〈明日〉〈命〉を歌ったメッセージ性の強い楽曲が増えた。そんなソカバンの核心は〈いまの時代に必要な音楽〉を綿密に考え抜いてリスナーへ提供する、曽我部のプロデュース能力の高さにあると言えよう。

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