90'sポップ・シーンの代表レーベルが幕!
いわゆる〈渋谷系〉と呼ばれるシーンが活性化しはじめた93年に産声を上げたレーベル、ESCALATOR。現在はCUBISMO GRAFICOなどで活動する松田岳二と名キーボーディストである堀江博久のユニット=ニール&イライザや、AVALONのYosuke KotaniがメンバーであったHARVARDなどを次々と輩出し、当時のこのシーンを語るうえで欠かせないアーティストが多く在籍する重要なレーベルであった。思えば、どのアイテムもポップでありながら常に先鋭性とラディカルな姿勢を併せ持つようなサウンドで、加えてそのハイセンスなアートワークで邦楽には興味のなかったようなお洒落女子のハートまでをも掴むという現象を生んだことも印象深い。そんなESCALATORが、次に紹介する2タイトルのリリースをもってレーベルの活動を休止することに(泣)!
まずは〈ESCALATORクイーン〉と呼ぶべきYU-KARI FRESHによる久々の新作『Grrrl, Summer Cape Kid, etc.』。全編をとおして彼女自身のローファイなドラム・プレイにキュートな口笛、ファニーなメロディーが炸裂する渾身の〈人力ガーリー・エレクトロック〉が繰り広げられている。そしてもう一枚はAVALONがこれまでに発表した楽曲を再レコーディング&ミックスを施してリリースする初のフル・アルバム『LABYRINTH』。ドラッギーなシンセのリフやクールなグルーヴ感が最高で、改めてバンドとしての強烈なオリジナリティーを知らしめる仕上がりだ。いずれもレーベルの終焉を飾るに相応しい傑作と言えるだろう。レーベルの活動休止はファンにとって残念なニュースではあるが、オーナーの仲真史が監修した集大成的なコンピ・シリーズ〈WE WERE ESCALATOR RECORDS〉を聴いてその最後を惜しみつつ、今後も運営していく洋楽専門のevery conversationとAVALON専門となるcrazy to existという各レーベルを引き続きチェックをしていくことにしよう。
いままでサンキュー、ESCALATOR!
▼レーベル音源をまとめたコンピを紹介。