それぞれの〈東京〉を素敵に彩る映画音楽

TOKYO!
2008年/フランス・日本・韓国・ドイツ 監督/ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ 出演/藤谷文子、加瀬 亮、ドゥニ・ラヴァン、香川照之他 東京・シネマライズにて公開中。全国順次公開予定(配給/ビターズ・エンド)
ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ボン・ジュノ。それぞれに強烈な個性を放つ3人の監督が東京をテーマに競作した映画「TOKYO!」が、ついに公開された。どの物語にも監督のスタイルが貫かれているが、サントラも三者三様でおもしろい。まずゴンドリー作品「TOKYO!〈インテリア・デザイン〉」のサントラを担当したのは、以前ゴンドリーと同じバンドに在籍していたエティエンヌ・シャリー。美しい旋律のなかに翳りを忍ばせたスコアで、大都会で自分を見失っていくヒロインの戸惑いを表現している。一方、カラックス作品「TOKYO!〈メルド〉」は怪人メルドが東京を暴れ回る話だが、「ゴジラ」のサントラをそのまま使うという荒技に出た。また、ボン監督の「TOKYO!〈シェイキング東京〉」では、作曲家/ギタリストのイ・ビョンウによる美しいギターの音色が、街ごと引きこもり化した東京の静けさを際立たせている。そして、エンディング・テーマはHASYMOの新曲“Tokyo Town Pages”。ちょっとダークなビートが夕闇に溶けていく大都会を浮かび上がらせるようで、映画本編にしっとりと余韻を残すエレクトロニカ・ナンバーだ。というわけでサントラも、いろんな〈TOKYO〉の詰め合わせ。