2日目(18:00頃~)
桑原 では、ここからはヘッドライナー・クラス。まずはスピリチュアライズドからお訊きしましょう。
土田 過去作品のどの辺のサウンドを聴かせてくれるのかな?っていうのがまず楽しみだったんですけど、初期のものを数曲、あとは新作『Song In A&E』と前作の楽曲がほとんでしたね。ノイズでトリップ感も出しつつ、でも個人的には、ふたりの女性コーラスを従えたゴスペル調の曲の方にグッと来ました。もう、壮大さに呑み込まれるような気分でしたね。ちなみにMCですが、予想どおりゼロでした(笑)。最後に全員が袖に引いてから、もう一回ジェイソンだけが出てきて客席に向かって手を挙げて挨拶するんですけど、それでも何も喋らない(笑)。すごい硬派なライヴでしたね。
澤田 僕が観たディーヴォも良かったですね。あの帽子を被って出てくるだけで盛り上がっちゃいました。元々は横分け・メガネの人たちが完全に歳をとっちゃって、銀行の頭取みたいなルックスになっちゃってるんですよね(笑)。そんな人たちが、カクカクした動きを見せるんですけど……昔のロボティックなイメージとは別モノになっていて(笑)、その異様感も楽しめました。ローリング・ストーンズの “(I Can’t Get No)Satisfaction”をロックの欠片もないような感じ(笑)でカヴァーしたあとに、ゴリゴリのロック・ナンバーをプレイしたりだとか、小技みたいなものもいっぱいみせてくれて。あの帽子も、みんなに配ってましたよ。
桑原 ディーヴォを観たあとなんだろうな、ってお客さんがコールドプレイのライヴに流れて来てたんですけど、すごく泣けるバラードをやってるのに、僕の目の前にあの帽子を被った人たちがいるわけですよ(笑)。それも真剣な顔をして。その景色がやけに可笑しくって(笑)。
澤田 (笑)というふうに、アトラクションも豊富にあって。あと、若い女の子が〈ディ~ヴォ!!〉って声援を飛ばしてたりして。
POLYSICSの影響もあるのか、若いファンが盛り上がってたのも印象的でしたね。
桑原 北野くんは?
北野 僕はアリシア・キーズを観ました。まぁほんとキレイでしたね……って僕、こんな感想ばっかりですが(笑)。白いタンクトップ姿で肌の露出は多めだけども、すごく健康的で、全然いやらしくない。素敵だなぁとウットリしっ放しでした。音楽的な部分では、しっかりした演奏力を持つプロフェッショナルなメンバーを連れてきていて、ソウルからレゲエからソカまで何でもできちゃうところが素晴らしかった。
桑原 僕は、〈あぁ、ロック・ファンにもアリシアのファンは多いんだなぁ〉と思いながら会場を眺めてましたね。いろんなタイプの音楽ファンが一緒に盛り上がっていたから。それで、ラストの“No One”の時に、会場が感動的な一体感が生まれて……。
北野 スタジアムの全員が大合唱でしたもんね。
桑原 そして、〈SONIC STAGE〉のトリを飾ったのが、ジーザス&ザ・メリー・チェイン。
土田 ブラッド・レッド・シューズの時にも言ったんですが、すぐ隣が〈DANCE STAGE〉だったりと、会場の構造上の問題なのか、フロア内での聴いた位置によるものなのかはわからないんですけど、〈SONIC STAGE〉って、音が小さ目な気がするんですよね。だから、ジザメリも良かったは良かったんですけど、あのフィードバック・ノイズをもっと爆音で聴けたら、感動の度合いがもっと強烈だったんじゃないのかなぁと思って……ちょっともったいなかったかな。でも、やっぱり根強いファンというか、曲を全部覚えてて歌ったり踊ったりしてるファンがたくさんいましたね。私も何だかんだ言って、前の方で食い入るようにステージを見つめてましたし(笑)。
桑原 北野さんが観たハドーケン!はどうでした?
北野 メンバーの若さが伝わってくるライヴでしたね。ヴォーカルとギターがバスドラの上にのぼってジャンプしたりだとか、最後にドラム・キットをボコボコ倒しちゃったりだとか、ホントに活きの良さを感じさせてくれましたね。プロディジーの“Firestarter”のカヴァーを織り込んだりと、けっこう緩急を織り交ぜたライヴになってて、盛り上げ上手でしたよ。
桑原 僕が観たコールドプレイも、異様な盛り上がりでしたね。一番印象的だったのは、若い子があちこちで曲を聴きながら泣いてたこと。若いロック・ファンにとってほんとに大事なバンドなんだな、って痛感させられました。終盤には、アリシア・キーズが登場したり、SMAPの“世界に一つだけの花”のカヴァーをやったり、見どころも満載で。ピアノの弾き語りだったんですけど、最初に歌なしのメロディーが流れて来た時に、「いい曲だなぁ」と、思わず目を閉じて聴いてましたよ。それが徐々に、あれ?この曲って……とみんなが気付いてザワザワし始めて。で、流暢な日本語で〈セーカイーニ ヒートォ~ツ ダーケーノ♪〉と飛び出した時は、感動と笑いが混じりあった大歓声がドカンときました。ヘッドライナーとしてのスケール感を見せつけるライヴでしたね。そして、〈MOUNTAIN STAGE〉の大トリを飾ったファットボーイ・スリムを観たのは、澤田さん。
澤田 まぁ、期待に応えてガッツリ盛り上げるってステージでした。ほぼ四つ打ちでしたね。大ネタでガンガン行くから盛り上がるし。ホント、あの人のカリスマ感って一体何なんだろうな?って思わされたんですよね。ロバート・デ・ニーロっぽいアクションをとるだけなんだけど(笑)、ガーッと盛り上がるんですよねぇ。
▼文中に登場した出演アーティストの作品