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第7回 ─ 〈サマソニ〉復習編 Part.1 参加メンバーが語る、幕張での2日間!!

第7回 ─ 〈サマソニ〉復習編 Part.1 参加メンバーが語る、幕張での2日間!!(3)

連載
オレら の 夏 フェス 予習・復習帳 '08
公開
2008/08/14   14:00
更新
2008/08/14   20:42
テキスト
文/bounce.com編集部

1日目(18:00頃~)

桑原 では、続いて夕方以降のアクトについて訊きたいんですが、まずはヴァーヴから。

土田 全体を見るために正面寄りのスタンド席を選択したんですけど、アリーナではいろんなとこで熱狂的なファンがユニオンジャックを掲げてましたね。最初はそんなに埋まってなかったんですけど、ステージの中盤あたりにはパンパンになりました。で、スタンド席はちょっと年齢層が高い感じ。メンバーが出てきた時も、アリーナはドカーンと盛り上がってるんだけど、スタンドは口元とか目頭を押さえて感動してる、みたいな(笑)。その対照的なアガり方が面白いなあと思いながら見てて。で、セットはベスト的なセレクションに、9月に出るニュー・アルバム『Forth』から新曲を2曲やってて。もちろん“Bitter Sweet Symphony”もやり、自分は本気で泣き、という感じですね。(笑)。あと、リチャード・アシュクロフトのカリスマ感が凄かったです。ちょっと変わった踊り方をしてるなーって場面もあったけど、それを凌駕するほどのロックスターぶりで。

澤田 そういう人っていますよね(笑)。ニュー・オーダーを観た時もそういうことを思いましたもん。

桑原 イアン・ブラウンとかもね。

土田 思ったけれども、それも含めて圧倒される感じで。

桑原 ヴァーヴは今年の〈サマソニ〉の名場面になる、素晴らしいライヴでしたね。

土田 ジョビンさんは休憩に入ってて、あんまり観てないんじゃないですか(笑)。

ジョビン 俺は、あるルートでVIPシートに行ったのね。お姉さんが酒とか持ってきてくれる部屋で、偉い人のふりしてゆっくり観てたの。そしたら、ヴァーヴが始まる頃から外人さんがどんどん入ってきて、いつのまにか部屋がパンパンになってて。関係者だったり、ミュージシャンもいたと思うんだけど、多分みんな楽しみにしてたんだろうなあって。異様な盛り上がりなんだよ、歌えちゃったりなんかして。

土田 〈フジロック〉のマイ・ブラッディ・ヴァレンタインみたいに、ちゃんと〈イマ〉感もあって。それって凄いことなんだなぁって、改めて思いましたね。

桑原 では次、俺がこの日の最後に観たポール・ウェラーなんですけど、フェスというより単体で観たかったなあって思わせる世界観を作り上げてましたね。この2日前が単独ライヴだったんですけど、そっちではスタイル・カウンシルのナンバーも演ったらしいです。で、〈サマソニ〉ではジャムの曲を演ったと。

澤田 フェスに迎合するようなセットではなかったですね。だいぶ前に〈ROCK ODESSEY〉で観た時は、スタカンの曲もジャムの曲も演って、ファン・サービス的な感じだったんですけどね。

桑原 今回は、いまのツアーの一環としてやってる感じですね。

澤田 まあ、熱かったし、相変わらずイイ男だったと思いましたけど。

桑原 そんな澤田さんの、この日の夜は?

澤田 ホット・チップも良かったですね。ただ、最後がシニード・オコナーのカヴァーで「何故なんだろう?」という謎も残しつつ、楽しく踊ったって感じです。この人たちはルックス的に全然華がなくて、実際目の当たりにしたらやっぱりショボかったんですけども(笑)、それでもちゃんと〈DANCE STAGE〉に集う若い子とかもガッツリ踊らせたから、それはすごいなあと思いましたね。

桑原 プロディジーは?

北野 凄くスタジアム映えする感じでしたね。どっちかというとガンズ・アンド・ローゼズとかのハード・ロックやへヴィー・ロックを聴いてるような印象を受けつつ、でも“Firestarter”みたいなヒット曲を演ると、ガーンとみんな盛り上がる感じで。やっぱり大きい会場慣れしてるなあっていう。のせ方がうまかったですね。

桑原 で、ジョビンさんはセックス・ピストルズですよね。どうでした?

ジョビン 俺はまたある筋を使って(笑)、楽屋横まで潜入しつつ、本番前にすれ違ってね。それでちょっと満足しちゃった、青春のピストルズとすれ違ったぞ、みたいな。ジョニー・ロットンがトイレに入っていったんで、追っかけてトイレに入った(笑)。一応、マネージャーが守ってたんだけどね。

澤田 トイレでもですか?

西尾 そう、ずーっと。だから近くまではいけない。5メートルぐらいまで。

桑原 ああ、じゃあ便器で言うと三つぐらい(笑)。これは、なかなかできない体験だよね。

ジョビン で、ライヴはそのまま前から10列目ぐらいまで行って。ホント、20年ぶりぐらいにポゴ・ダンスをやって。キターッと思ってね。〈これがパンクだ!〉みたいな。で、楽しかったんだけど、もう50~60℃はあるんじゃないかってぐらい暑くって、気分が悪くなって(笑)。もう酸素が足りない感じ。女の子がボコボコ倒れて、何人もセキュリティーに運ばれて。俺も女の子と一緒に倒れるかと思った。5曲目ぐらいまでは前でがんばったんだけど、もう後ろに戻った。

桑原 演奏などはどうでした?

ジョビン いまのロック・バンドとしてカッコいいのよ、どの曲も。ということは、この人たちは30年前にいまに到るロックのフォーマットを作ったんだなって思って、それに感動しちゃった。逆に言うと、ロック・バンドは30年間、ピストルズが作ったものを継承してロックをやってるんだなあっていうか。ピストルズはロンドン・パンクを作った人みたいに言われてるんだけど、いま聴いてみると、パンクというよりはハード・ロック、ちょっとグルーヴィーなロック……へヴィー・ロックとハード・ロックの間みたいな感じなんだよね。パンク・ロックと呼ばれるものは何だったんだろう?みたいな、ちょっと歴史検証的なことを考えさせられたっていうか。それほど、いまのロックとして聴ける音楽を演ってたのにビックリしたね。あと、彼らはシアトリカルだよね。ジョニー・ロットンはやっぱり役者だなあっていう。MCとかも良かったよね。日本の国旗とユニオンジャックを持ってきて、「日本の国旗はなんて美しい国旗なんだ」って。「もっと自分の国に誇りを持て」「俺は自分の国を誇りに思ってる」みたいなことを言ってて。あと、「ジョージ・ブッシュは人類の敵だ」とか、すごい政治的。ロンドン・パンクってそういえば政治運動でもあったなあって思って、ちょっと興奮した。ああいうことをオッサンになってもちゃんと言ってるところがパンクだっていう。

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