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第392回 ─ MISTER LONELY

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/08/14   01:00
更新
2008/08/14   18:16
ソース
『bounce』 301号(2008/7/25)
テキスト
文/田中 幹也

マイケルとマリリン(!?)が自分探しの旅へ


  19歳で脚本を執筆した「キッズ」や初監督作品「ガンモ」など、エキセントリックながらもゾッとするほどリアルな視点で人々の日常を描き出し、世界に衝撃を与えてきた奇才のハーモニー・コリン。長らく映画業界から身を引いていた彼が8年ぶりに手掛けた「ミスター・ロンリー」が、このたびDVD化された。

 マイケル・ジャクソンに扮した男(ディエゴ・ルナ)とマリリン・モンローに扮した女(サマンサ・モートン)が恋におち、チャップリンやマドンナ、ローマ法王など、大勢のモノマネ芸人たちと共に古城で共同生活を送る、というメチャクチャな舞台設定はまるでコメディー映画だが、ちっとも笑わせてくれないところが、流石はハーモニー・コリン。登場人物たちがユーモラスに振る舞うほどに虚無感ばかりが募り、人間の孤独と生の儚さが浮かび上がる──そんな仕掛けにハッとさせられっぱなしだ。〈切ないラヴストーリー〉で片付けるにはあまりに切なすぎるよ、コレは。少ないセリフのなかで音楽が大きな役割を果たしているし、ミュージシャン(のニセモノ)も多数登場するし……ってことで、音楽ファンも必見でございます。

▼ハーモニー・コリンの関連DVDを紹介。