すべての〈フジロッカー〉に捧げる、ロック史上最強のDVDが登場!

97年にスタートした〈フジロック〉も今年で12年目。いまや世界的な認知と信頼を獲得した日本最大級の野外ロック・フェスが、このたびついにDVD「FUJIROCKERS -THE HISTORY OF THE FUJI ROCK FESTIVAL」としてパッケージ化された。これが、その歴史を総括した画期的な仕上がりとなっているのだから観逃せない。で、どのあたりが画期的なのかというと、これまでにリリースされた〈フジロック〉関連のDVDは、BOOM BOOM SATELLITESや電気グルーヴなど、アーティストごとのライヴを主体にしたものしかなかったからだ。簡単に説明してしまえば、このDVDは〈フジロック〉に息づくすべての人々の〈生活(=生命活動)〉を丸ごと詰め込んだ、ロック史的に見ても重要なドキュメント作品といえるだろう。
ライヴ・シーンでは、ブランキー・ジェット・シティのラスト・ステージや、無数の流れ星を呼んだアンダーワールドの奇跡、世界最強のライヴ・バンドだったミッシェル・ガン・エレファントの暴れっぷり、楽屋を徹底的に破壊するニック・ケイヴ軍団の恐怖、生前のジョー・ストラマーが魅せた勇姿、目隠しをしてギターの弦を引きちぎったパティ・スミスの平和への祈り、オアシスと数万人の観客がひとつになった大合唱などなど、総勢109組のアーティストが登場。それぞれの厳選されたパフォーマンスがタップリと堪能できる。しかし、それだけでは〈ロック史的に重要なドキュメント作品〉とはいえない。
本作が特別なのは、ステージ間の移動中にすれ違う人々が交わす何気ない挨拶から、テントが隣り合った者同士のさりげない会話、屋台の客と店員の楽しそうなやりとり、自然と一体化する人々、そして深刻な環境問題に対するオーディエンスの前向きな意識といった、12年の歳月をかけて育まれてきた〈フジロック〉特有のピースフルなヴァイブスと、そのヴァイブスに魅せられた人々の生活や人生が、アーティスト/オーディエンスを問わずにありのまま収められていること。なかでもいちばん興味深かったのが、巨大な焚き火を囲みながら打楽器演奏に合わせて大人数で踊ったり、楽しそうに盆踊りを踊る〈フジロッカーズ〉の姿だった。お目当てのアーティストを観て熱狂することももちろん楽しいが、この〈フジロック〉という一大イヴェントは、〈大地に感謝し、日々の憂いを祭りで発散する〉という、古代から人類がDNAレヴェルで受け継いできた、平和的でトライバルな思想に満ち溢れたフェスティバルなのだ。ということで、すべての音楽ファンは当然のこと、すべてのお祭り好きにもオススメしたい。さ~て、今年も苗場で騒ぎまくるぞ!
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