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第377回 ─ DO YOU KNOW TENACIOUS D?

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/07/17   23:00
ソース
『bounce』 300号(2008/6/25)
テキスト
文/村尾 泰郎

メタルでメタボな汗臭いロック・ムーヴィーが、ついに日本上陸だ!!


テネイシャスD ~運命のピックをさがせ!
2006年/アメリカ 監督・脚本/リアム・リンチ 出演/ジャック・ブラック、カイル・ガス、JR・リード、フレッド・アーミセン、ロニー・ジェイムス・ディオ、デイヴ・グロール、ミート・ローフ他 7月26日より東京・シネクイント他全国公開(配給/プレソディオ)

 映画「スクール・オブ・ロック」では、小学生相手にロックの素晴らしさを伝授していたジャック・ブラック。今度はコメディアンのカイル・ガスと組んだバンド、テネイシャスDで映画界にロックの心意気を叩き込む! 最近では喜劇役者としてのイメージが強いジャックだが、最初にブレイクしたのは、このテネイシャスDがきっかけだった。カイルと95年に結成したテネイシャスDは、ベックやフー・ファイターズのデイヴ・グロールなどロック・ミュージシャンから熱い支持を受けて、いつの間にやら『Tenacious D』でアルバム・デビュー。そしてこのたび、彼らを主人公にした映画「テネイシャスD ~運命のピックをさがせ!」が日本で公開されるわけだ。

  厳格な父親に育てられた主人公のJB(ジャック・ブラック)は、ロックを極めるために家出してアメリカ中を放浪。やがてハリウッドの路上で日銭を稼ぐ小太りミュージシャン、KB(カイル・ガス)のギター・テクに心奪われ、弟子入りすることに。そして、KBの厳しいロック修行(ライヴ中に飛んできたビンを避ける訓練とか)をクリアしたり、カイルのヅラが吹っ飛んだりと、くだらないことを積み重ねながら2人はテネイシャスDを結成する……が、いきなりスランプに陥ってしまう。そんな時、ジミ・ヘンドリックスやビートルズを成功へと導いた〈運命のピック〉の存在を知った2人は、すぐにそのピックが眠るロックンロール歴史記念館へと向かうのだが──とまあ、ロック・ファンのハートを鷲掴みにする小ネタ満載の本作。ゲスト・ミュージシャンも多彩で、「ロッキー・ホラー・ショー」とは違った意味で強烈なミートローフのミュージカル・シーンもさることながら、ロニー・ジェイムス・ディオ御大がポスターから抜け出して歌いまくるシーンも迫力満点(3Dで観たかった!)。さらにテネイシャスD“Tribute”のプロモ・クリップで悪魔を演じていたデイヴ・グロールが、こちらでも嬉々として悪魔に扮して絶叫している。そして、そんな〈プロたち〉に負けじとテネイシャスDも数々のオリジナル曲を披露。どれもがベタベタなヘビメタ・ナンバーだが、なかでも彼らが必ずステージで披露するテーマソングで、クラシックの名曲のフレーズをツギハギしながらジャックが絶叫する“Classico”は聴きものだ。

 そんなわけで、ギターを抱えたデブ×2が暴れ回るメタボリック・ロック・オペラ「テネイシャスD ~運命のピックをさがせ!」は、ロック・ファンにとっては夏休みの宿題。(本人たちいわく)「地球上でもっとも偉大なバンド」の不屈のロック魂に、いまこそ触れるべし!