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第28回 ─ GRUNGE

第28回 ─ GRUNGE(4)

連載
Di(s)ctionary
公開
2008/07/10   22:00
ソース
『bounce』 300号(2008/6/25)
テキスト
文/渡辺 貴仁

III その後の流れと、現在のシーンにおけるグランジの影響力

 最後に、その後の流れとムーヴメントが及ぼした影響について補足するぞ。もともと海外での評価も高かった少年ナイフ(カート・コバーンも彼女たちが大好きだったんだ!)や、ソニック・ユースとも親交の深いBOREDOMESらの活躍が、わが日本にもその熱気を伝えてくれたのだが、グランジの象徴であるカートが94年4月に自殺。この大事件をきっかけに、ブームは急速に冷めていくこととなるんだ。しかし、残されたニルヴァーナのデイヴ・グロールは新たにフー・ファイターズを結成。王道USロックに根差したサウンドで、ふたたびシーンに殴り込みをかけたことは諸君も知っているんじゃないかな?

 一方、ミクスチャーと言われるマッチョなロックの流行を経て90年代末に登場したのが、ニッケルバックやスリー・デイズ・グレイスら〈ポスト・グランジ〉と呼ばれる連中だ。彼らの鳴らす重たいギターの轟音は、たちまちシーンを席巻したんだよ。そして現在、UKのブラッド・レッド・シューズや日本のlostageといったバンドがグランジからの影響を公言し、シーンの中心でグランジーなギター・ロックを高らかに鳴らしている。メインストリームに対するカウンター的な側面が強く、一過性のものに過ぎなかったという見方もされがちだが、そのグランジが現行ロック・シーンのド真ん中に多大な影響を与えていることは非常に興味深い。
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