青さと無防備さが清々しい〈はじめの一歩〉に大注目!

2008年後半以降、このバンドの名前を目にすることが多くなると思うので覚えておいてほしい。lego big morl(レゴ・ビッグ・モール)――2006年3月、高校の同級生を中心に大阪で結成されてから約2年、彼らはこれまでにライヴ会場と限定店舗で音源を数枚リリースしたのみだが、〈すごい存在になるかもしれない〉という期待の声があちこちから聞こえてくる。そして、注目の第一歩目がこのたびリリースされるファースト・ミニ・アルバム『Tuesday and Thursday』。イントロに続く実質的な1曲目“dim”は、激しいノイズ・ギターの壁とオーソドックスなギター・ポップのアプローチが合体したキャッチーなナンバーで、華奢なイメージの甘いヴォーカルがよく合っている。続く“ワープ”“moonwalk for a week”は、アップテンポで疾走するエモーショナルな昂揚感とシューゲイザーのメランコリックな内向性との屈託のない組み合わせだ。一転して“テキーラグッバイ”と“nice to”では2本のギターによるまったく違ったカッティングと、ディスコ・ビートやドラムンベースを消化したリズム隊とのせめぎ合いがおもしろい。まだ技術よりもアイデアが先走っているようだが、その青さと無防備さが若いバンドらしくて良い。2000年以降のジャパニーズ・ロックを聴いてすくすくと育ったピュアな新世代バンドという印象で、そこに洋楽コンプレックスが感じられず、甘く切なくポップなメロディーに屈折はない。ライヴを観ないと断言はできないが、多くの人を惹きつけるナイーヴな青年のフェロモンもありそうだ。〈はじめの一歩〉としては十分な内容だろう。

『Tuesday and Thursday』からの先行シングル“moonwalk for a week”(ORS)