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第357回 ─ ONB IS BACK!

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/06/05   22:00
ソース
『bounce』 299号(2008/5/25)
テキスト
文/大石 始

バルベスの名物楽団がエネルギッシュに大復活!

  パリの中心に位置するバルベスは、アラブ、アフリカ、フレンチ・カリブ、インドなど多様な国々からの移民が蠢く地域。夜は少しデンジャラスだけど、エネルギッシュで刺激的な街だ。〈バルベス国立楽団〉を意味するオルケストル・ナシォナル・ドゥ・バルベスは、そんなバルベスのおもしろさを凝縮したような楽団である。長らく沈黙を続けていた彼らだったが、このたび突如9年ぶりの新作『Alik』をリリース。これがまた、移民文化のミクスチャーが各国で進む現在においても、ひときわフレッシュに輝く作品となっている。シャアビ、ライ、メレンゲ、グナワ、ミュゼットなど呑み込まれた素材はさまざま。『Alik』がユニークなのは、それらを繋ぎ合わせているのが、いささか乱暴でロック的なダイナミズムだということ。中盤でグナワに展開していくローリング・ストーンズ“Symphathy For The Devil”のカヴァーはその最たるものだし、〈アラブ版ホークウィンド〉といった感じのアラビックなトランス・ロックンロール“Civilise”も凄すぎる。この興奮、シャアビもライも知らないリスナーにこそ体感してほしい。