デトロイトの歴史はいまも作られているぞ!
デトロイト産のヒップホップが熱い……いや、相変わらず熱いと言うべきか。J・ディラにプルーフ(D12)というシーンの基盤を作った偉人を失いながらもデトロイト・ヒップホップは有機的に前進を続けている。その代表格として挙げたいのが、これまでジェイリブ“Strapped”やJ・ディラ“Baby”に抜擢されてきたギルティ・シンプソンだ。このたび登場した初のアルバム『Ode To The Ghetto』は、晩年をLAで過ごしたディラ同様にストーンズ・スロウからのリリースということで、マッドリブやオー・ノーの参加もある。ただ、ここではMrポーター(D12)やブラック・ミルクといった地元勢との合体に注目しておこう。ディラの遺したビートもあるし、何より男臭いマイク捌きの存在感に圧倒されるはずだ。一方、それとは逆にブラック・ミルクは、カリフォルニア勢とリンクして〈カルトロイト〉を標榜したコンピ『Black Milk Presents Cal-Troit』と、巨漢MCのファット・レイと組んでの『The Set Up』という2作を同時リリース。共にギルティやエルザイ(スラム・ヴィレッジ)をはじめとする地元勢が参加した好作となっている。さらに、昔のエミネムにも通じるマッド・キャップはプルーフもフィーチャーした『Less Than Zero』を、元スターヴィング・アーティスツ・クルーのSPは『Movin' Along』をそれぞれ発表……故人の功績は確かに素晴らしいものだが、いまのシーンを動かすのはいまの名前なのだ。注目すべき。