
ニンジャ・チューン傘下のカウンターが気になって仕方ない。カウンターとは、スーパー・ヌメリの一員であるポップ・リーヴァイがソロ・デビューする際、わざわざ設立されたロック・レーベルだ。確かに、サイケでグラマラスでイマっぽさ皆無のロック・シンガーをニンジャの名の下でデビューさせることは難しかったのかもしれない。だからといって一発目にコレを持ってきたら後がキツイのでは? そんな心配をよそに、力みまくった真っ黒ファンク・ロックを聴かせるヘヴィーを第2弾アクトとして輩出。メチャクチャですよ。だって、〈異色であること〉以外に両者の共通点が見当たらないんだもの。
そんな(どんな?)カウンターから、このたび第3の刺客が送り込まれた。それがここで紹介する男女2人組のパンク・バンド、デス・セット。そもそも3年前にオーストラリアはゴールドコーストで結成された彼らは、より良い制作環境を求めてNYに渡り、最終的にボルティモアに落ち着くことに。そこでスパンク・ロックと意気投合してニンジャ・ファミリーに仲間入りしたというわけ。なお、過去にはモデュラーからも数枚のシングルを発表済みで、そのうちの一枚、ボンジ・ド・ホレのリミックスした“Distressed”は世界中のパーティーで重宝されている……と、ここまで読んで薄々勘付いている人も多いと思うが、〈パンク・パンド〉とはいえ反骨精神剥き出しのストリート・パンクスとは一味どころか百味くらい違う、最高に享楽的なサウンドが特徴的。つまり、彼らもまたレーベル・カラーに沿った〈異色っぷり〉を見せつけているのだから頼もしい限りだ。
今回のファースト・アルバム『Worldwide』でも、スッカスカのシンセ・ビートに気合ゼロなヘナヘナ女子ヴォーカル、やたらうるさいディストーション・ギターをグチャっとまとめて、全20曲30分弱を一気に駆け抜けている(それこそ、聴き終わった後にポカ~ンとしてしまうほど一気に、だ!)。このブリブリにブリーピーなパンク・ロックを軽薄だと一蹴するか、それともいっしょになってバカ騒ぎするか――判断はキミに任せるけど、どっちを選んでも後悔しそうなほど強烈です、ってことだけはあらかじめ伝えておこう。
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