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第332回 ─ 加藤ミリヤ&青山テルマ

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/04/17   01:00
更新
2008/04/17   17:36
ソース
『bounce』 297号(2008/3/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

加藤ミリヤ 10代最後のアルバムは賑やかで、だからこそ切なくて……


 〈次は何よ?〉と毎度オッサンが元ネタへの興味を惹かれているうちに、それとはまた違うレイヤーで〈普通のヒット〉も積み重ねるまでに成長してきた加藤ミリヤ。パッヘルベルの〈カノン〉を敷いたバラード“Love is...”、若旦那(湘南の風)とのコラボ曲“LALALA”と、昨年からノーマルな佳曲は続いていたのだが……今年最初のシングル“19 Memories”を聴いた時には嬉しくなってしまった。同曲の妙な魅力は、安室奈美恵“SWEET 19 BLUES”というモチーフの魅力でもありつつ、これまで“ディア ロンリーガール”などが貫いてきた〈傷つきやすい10代〉路線の総決算という、過去最高にミリヤらしい仕上がりゆえでもある。〈オリジナリティーが云々〉とかいう人にはこのおもしろさがわからんかな。

 で、それらのシングル群を満載した今回のサード・アルバム『TOKYO STAR』も〈10代最後のアルバム〉という触れ込みに相応しく、ポップに弾ける好曲を取り揃えて世代感をアピールしながらも、“最後のI love you”や“サヨナラ”など大仰な喪失感とベタな別れの構図を強調しているのが興味深いところだ。そんなミリヤだからして、今後の路線を心配する必要はない。作中には〈若さはいつか武器にできなくなる〉なんて呟きまで周到に用意されているのだから。

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