武藤昭平による、〈憧れのアーティストたちと酒場でいっしょに酒を飲んだら?〉――という深夜の妄想話!
6:00am 〈カリブの海賊〉
30時。明け方からファンファーレ・チョカリーアの演奏を聴かされ、悪酔いしたシェイン・マガウアン(ポーグス)がトイレから出てきた頃、ひとりの男が店に入って来た。その男を見たジョニー・デップが一言「お、親父!」「おお、〈ジャック〉じゃねぇか」。キース・リチャーズである。「〈パイレーツ・オブ・カリビアン〉での共演は嬉しかったよ」と言うジョニーに、「俺がディズニー映画に出ちまうなんて、世も末だな」とキースが返した。すると悪酔いしたシェインがまたワケのわからないことを口走る。「あれ、俺はディズニーランドにでも来ちまったのか? なぜ海賊が2人もここにいるんだ? あぁ、やっぱり具合が悪い」とふたたびトイレに入っていった。
「シェインはダメ人間だな。なぁ、キース」とイギー。「よぉ、イギー。いまの男はアイリッシュのシェインか? 俺とジョニーを海賊と言ってたが、シェインこそ怪物みたいだったぞ。歯もずいぶん抜けてよ」とキース。するとジョニー「みんなごめんね。俺がちゃんとシェインを連れて帰るから」「ほっとけ。俺もこの店で飲む時はみんなにほっとかれてんだ」とキース。そして俺がキースに訊いてみた。「そういえばキースさん、昨日は大丈夫でした? トム(・ウェイツ)さんが〈キースはこの店で30時間は飲んでる〉って言ってましたけど。で、俺も酔い潰れてるキースさんを見かけたんすよ」「なんだ、ムトウはその場にいたのか。起こしてくれりゃ良かったのに」「そう思ったんすけどトムさんが〈ほっとけ〉って言うもんだから」「なんだ、トムの野郎。あの後、俺が起きて〈腹減ったからなんか食わせろ〉っつったら白身魚フライ定食なんか出してきやがって。胃がヘヴィーで食えなかったぜ」とボヤくキースに俺が突っ込んでみる。「キースさんの朝食は夕方の5時ですよね?」「よく知ってるじゃねえか、ムトウ。あ、そうだ! お前はロックンロールが好きか?」とキースが俺に訊く。「もちろんですよ」「よし。明日、いやもう今日か、チャック(・ベリー)がスタジオにいっしょに入ろうと言ってるんだ。お前も付き合え」「あ、マジっすか? 俺でよければお願いします」「じゃあ、今日は帰るか」とみんな店を出ることに。するとジョニーが言った、「ねえ、シェインは?」。すかさずキースが一言、「ほっとけ!」。
……武藤昭平、あくまでも妄想の話。
深夜30時の妄想盤
THE ROLLING STONES 『The Biggest Bang』 Rolling Stones/Virgin(2007)
40年以上に渡ってオーディエンスをロックし続けるローリング・ストーンズの、最新ツアーを収めた4枚組DVD。キースさんがヴォーカルを取ったバディ・ホリーのカヴァーを収録するなど、ここでも変わらぬロックンロール魂を開陳しています。たかがロックンロール、だけど……(以下省略)。最高です!!
『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド -スペシャル・エディション』 ウォルト・ディズニー(2007)
ジョニーさん演じるジャック・スパロウ船長のモデルがキースさんであることは有名ですが、シリーズ3作目でついにキースさん本人がジャックの父親役として登場。気になる演技力は……2人の間柄を息子(ジョニー)が興奮気味に語る特典映像をプラスした本DVDで、ぜひともチェックを!
PROFILE
武藤昭平
ジャズとパンクを融合させたオリジナルなサウンドで人気を博す伊達男音楽集団、勝手にしやがれのドラマー/ヴォーカリスト。カヴァー・アルバム『LET'S GET LOST』(エピック)も好評リリース中。3月22日(土)に富山・福野文化創造センター円形劇場ヘリオスでSOIL&"PIMP"SESSIONSとのジョイント・ライヴの開催が決定しているほか、今年もガッツリとライヴ活動を展開していく予定。その他、バンドの最新ニュースは〈www.katteni-shiyagare.com〉で!