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第5回 ─ 〈SUMMER SONIC 07〉各アクトの詳細をレポート!

第5回 ─ 〈SUMMER SONIC 07〉各アクトの詳細をレポート!(2)

連載
オレらの 夏 フェス 予習・復習帳 07
公開
2007/08/30   18:00
テキスト
文/加賀龍一、加藤直子、柴田かずえ、汁兵衛、村尾泰郎、RAW原田、土田真弓

8月12日(日)

13:55~
■ENTER SHIKARI @ MOUNTAIN STAGE


(C)SUMMER SONIC 07 All Copyrights reserved

  シカリっ子名物〈人間ピラミッド〉に淡い期待を抱いて臨んだ今回。〈レイヴ・メタル〉などと形容される、異種格闘技ハードコアで飢えたキッズを狂喜乱舞させているという噂通り、むしろオーディエンスの方がそのフレッシュな動きに圧倒されるほど凄まじいものだった。“Return To Energiser”で登場したシカリ・ステージ最高のおもてなし、レーザー演出も乱舞に拍車をかけ、英国レペゼン銀河系鋼鉄分子(もれなく短パン着用)たちは右へ左へフロアを煽りまくる。しかし! ラストに近づき、もう1発かましたろか~的なその時に、ギターの音が出ない事件が発生! その後何とか修復したものの……んー残念。が、人々の脳にはしっかりとキズを付けたぞ、シカリ! *加藤

15:35~
■BLOC PARTY. @ MARINE STAGE


(C)SUMMER SONIC 07 All Copyrights reserved

  ポエット・パンクという風化したムーヴメントから脱却した意欲作『A Weekend In The City』を引っ提げてのサマソニ参戦となったブロック・パーティー。まずステージ立った瞬間、そんな一皮剥けた立ち居振る舞いに惚れ惚れしてしまった。“Song For Clay(Disappear Here)”でスタートという最新作中心の前半、“Banquet”など過去のアルバムからの楽曲中心の後半という構成だったが、全体を通じて彼ら特有のヒリヒリとした緊張感はそのままに、キャンキャンと吠えるケリー・オケレケをはじめとしたバンド・サウンドのアグレッションはライヴになると数倍に膨れ上がる。この青白い炎のような鋭角グルーヴに、野外にいながら最初から最後まで鳥肌が立ちっぱなしだった。*加賀

16:45~
■MANIC STREET PRECHERS @ MARINE STAGE


(C)SUMMER SONIC 07 All Copyrights reserved

  最新作『Send Away The Tigers』を引っ提げて、2年ぶりの来日となったマニックス。まだ日が差すスタジアムに“You Love Us”のイントロが流れ、ジェイムズ・ディーン・ブラッドフィールドの良く伸びる声と共にセットはスタート。最新作からの楽曲と、大合唱が印象的だった“Design For Life”をはじめとした数々の名曲をまんべんなく散らした、バンドのベスト的セットリストにしたのは大正解でしょう。〈リッチー・エドワーズに〉と前置きして披露された“Motorcycle Emptiness”で締め括るという、あえてファースト・アルバムからの2曲をオープニングとラストに持ってくるあたり、彼らのフトコロ深い歴史と、いつまでも色褪せぬ輝きを象徴しているようだった。*加賀

17:15~
■VITALIC @ DANCE STAGE


(C)SUMMER SONIC 07 All Copyrights reserved

  光沢ある頭頂部が目印のテクノ・ダンディ、ヴィタリックが05年フジロックに続きロック・フェスとの相性をみせつけた。エレクトラグライドやリキッドルームにも登場した彼だが、今回もライヴの基本ラインは変わらず、初アルバム『OK Cowboy』のイントロダクション“Polkamatic”から始まりアンセム“La Rock”に照準をあわせて盛り上げていくスタイル。ただ、基本路線を維持しつつも、ヘッドフォンをマイク入力に挿し込みロボ声で歌ったり、ブレイクでのビート展開を差し替えたり、映像演出(“La Rock”のブレイクに登場するギターを振り回すモデルたちは相当会場にハマっていた)を加えるなど、細かなヴァージョン・アップを施し絶大な発狂効果を生んでいた。*RAW

18:10~
■KASABIAN @ MARINE STAGE


(C)SUMMER SONIC 07 All Copyrights reserved

  2003年、衝撃の初来日もサマソニだったなあと、当時より数倍デカいスタジアムを眺めながら感傷に浸る……ようなヒマも与えてくれなかったカサビアンによる圧巻のライヴ。広いステージをふてぶてしく陣取ったそのお姿は4年前の若々しさなど微塵も感じられず、“Shoot The Runner”“Empire”“Club Foot”といったアンセムを次々に連射し、男女のべつまくなしにマリン・スタジアム全体を蹂躙していくパフォーマンスは堂々としたもの。太陽が沈み、カクテル・ライトが照らす幻想的なその光景に、デビュー当時から比較されていたプライマル・スクリームにより近づいた……というか並んだと確信させられた、王者の風格漂う神々しいまでの凱旋パーティーだった。*加賀

18:40~
■UNKLE @ DANCE STAGE


(C)SUMMER SONIC 07 All Copyrights reserved

  NIGOと共作などをしていた〈Mo'Wax〉全盛の10年前のパブリック・イメージに比べて、昨今はDJプレイひとつとってもプログレッシヴ・ハウスに接近するなどモード・チェンジを続けるジェイムス・ラヴェル。まあ、10年たてば色々変わりますね。さて制作の女房リチャード・ファイルとのアンクル名義での新作『War Stories』発表後のライヴ披露となった今回、ライヴのテーマは〈マッシヴ・アタック+ナイン・インチ・ネイルズ+2001年宇宙の旅〉。バンド・スタイルで臨んだ今回のパフォーマンスをみて合点、まさしく昨年のマッシヴ・アタックで見たようなクールなシーケンスを、丹精なバンド演奏が轟音で包み込むダイナミズム! VJ映像には件のマッシヴ・アタックの3Dが登場するなど、映像演出も練りこみつつ“Burn My Shadow”“Eye For Eye”などの名曲を連発してくれました。*汁兵衛

19:35~
■PET SHOP BOYS @ SONIC STAGE


(C)SUMMER SONIC 07 All Copyrights reserved

  キング・オブ・エレポップの姿をひと目拝もうと、2日目トリの〈SONIC STAGE〉は老若男女ですし詰め状態。観客の期待が飽和するなか、“God Willing”のイントロと共にシルクハット+燕尾服のニール&白キャップ+黄パーカーのクリスが登場した……のだが、大歓声が上がったのも束の間、まったく同じコスチュームのコンビが続々と出現。ステージ上を鷹揚に闊歩する計3組が同時に交わした握手を合図に“Left To My Own Devices”のビートが脈打ち始め、フロアは一気にダンス・モードへスイッチ。デジタルな映像と共に“Always On My Mind”“West End Girl”“Where The Streets Have No Name (I can't take my eyes off you)”などの世界的ヒット曲が連打され、男2人女1人のコーラス&男ダンサー2人は、目まぐるしく衣装チェンジしながら激フィジカルなパフォーマンスを披露。さらにはニール&クリスの顔を模した巨大なセット(気ぐるみ?)が躍り出て来るというユーモラスな演出もあり、会場内はあり得ないほどの祝祭ムードに。ラストは“The Sodom and Gomorrah Show”の壮大なオーケストレーションで絶頂を迎え、フル・ヴォリュームの本編が終了。……でも、まだアノ曲を聴いてない! そんなオーディエンスの欲求を見越したように、アンコールの最後は“Go West”。青空の映像を背景にどこまでも膨らみゆく多幸感。感極まって涙ぐんだのは筆者だけじゃなかったはず。これぞプロの仕事!と語り継ぎたくなるほどの、完璧なステージングだった。*土田

19:45~
■ARCTIC MONKEYS @ MARINE STAGE

 これまで錚々たる大物が飾ったヘッドライナーを、こんなに早く猿が……と誰が予想したろう。開始前にはアリーナはパンパン、やはり奴らは普通じゃねぇ、というこちらの多大な期待をよそに、猿たちはごく普通に登場した。“This House Is A Circus”“Brianstorm”と序盤は沸き上がる猿山の人々を観察するような眼差しを向けるアレックス(相変わらずかわいい顔をしている)。派手なアクションもなく、気の利いたMCもない(〈アリガトウゴザイヤース〉程度)が、鳴らす音の魔力は本当に尋常でないことを改めて感じさせるものだった。曲に忍びこむ音の〈間〉や〈溜め〉が我々の琴線を刺激し、〈もっと聴かせて! 早く音を鳴らして!〉と餌を待つ猿の心境にさせる、恐るべき猿芸である。そしてラストも心の準備をさせず“A Certain Romance”で幕。祭りとはいえイレギュラーはなし。それでも巧妙な音の力で観客を納得させる術、これをすっかり熟知した猿はやはり飄々としていた。*加藤

20:05~
■THE OFFSPRING @ MOUNTAIN STAGE


(C)SUMMER SONIC 07 All Copyrights reserved

  アルバム・リリースも先ということで、マウンテン・ステージの大トリという今回の起用にいささかの〈?〉がついた人も多かったでしょう。しかし開演間近にギュウギュウとなった客席を見るにつけ、その考えを改めなくてはと反省した次第。“Starting At The Sun”“Kids Aren’t Alright”などのファスト・チューンに“Come Out And Play”“Pretty Fly(For A White Guy)”などポップなパンク・チューンをほぼ交互に披露するという構成で、噂されていた新曲もなく、MCもほとんどナシという潔さ。ただみんなに好きなオフスプを楽しんでもらいたいという、メンバーの意図が透けて見えるような構成に、オーディエンスはただただ踊るばかりだった。誰もが知っている曲を存分に楽しむという快感原則の根源に立ち返ったようなステージは、彼らがずっとここにいてくれると信頼するオーディエンスとバンドとの交歓で成り立ってるんだなと、終演後に改めて反省。やっぱり格が違いました。*加賀

20:10~
■DJ SHADOW & CUT CHEMIST @ DANCE STAGE


(C)SUMMER SONIC 07 All Copyrights reserved

  昨年もサマソニを沸かせたDJシャドウは、今回はカット・ケミストとともに名ミックス盤『Brain Freeze』で御馴染みのドーナツ盤DJショウを展開。冒頭の7インチ盤の歴史と変遷を解説した映像&ナレーションに続いて、小太りのDJシャドウとカット・ケミストが小さなヴァイナルたちに針を落とす。ドゥ-・ワップやソウルに始まり、ファンク、ハイフィー、メタルまで、二人で息をあわせてスクラッチ&カットインを駆使して展開していく様はまさに圧巻だったが、それに加えアニメーションを交えたVJも絶妙な空気感を形成。擬人化された昔ながらのジュークボックスからレーザー光線が飛び、iPodらしきプレイヤーを次々と破壊していくアニメーションは、スティーヴ・ジョブスが見たら舌をまいたかも。7インチの細かい&柔らかい音質の特性がゆえ、爆音&硬音が飛び交うロック・フェスのヘッドライナーとしては少々不利な面もあったが、それでも最後には大団円。ショルダー・キーボードよろしくポータブル・レコード・プレイヤーを二人で首から下げて、スクラッチ合戦を繰り広げ〈DANCE STAGE〉の幕を飾った。*RAW

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介





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