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第64回 ─ コンパクト

連載
Discographic  
公開
2007/07/26   19:00
ソース
『bounce』 289号(2007/7/25)
テキスト
文/石井 隆弘、石田 靖博

常にフレッシュな先鋭性を纏い続けるケルンの老舗レーベルを紹介……コンパクトでも中身は濃いぜ!

 ウォルフガング・フォイト(マイク・インク)とラインハルト・フォイトの兄弟が経営し、ミヒャエル・マイヤーが店長を務めるケルンのレコード店〈コンパクト〉を母体に、98年に設立された同名レーベルがコンパクトだ。もともとはショップで扱う諸レーベルのディストリビュート業を中心としていたこともあって(現在も多数のレーベルを扱う)、そのなかのスタジオ・アインやプロファン(共にマイク・インク主宰)のようにベーシック・チャンネルをさらに漂白したようなモノ・ミニマルのイメージが(日本では)強かった。が、レーベル初期から継続するアンビエント連作〈Pop Ambient〉やサブ・レーベルのコンパクト・エクストラから、スーパーピッチャーなどメロウ・ポップ色の強い若手、新世代エレクトロ・ポップの旗手であるインターナショナル・ポニーの中心人物=DJコーツェらが輩出され、もともとあった〈カラフルなテクノ〉路線がクリック~テクノのクロスオーヴァー化にもリンクして、いまいちばん刺激的なレーベルになっている(老舗なのに!)。オーブのような御大からKAITOやフィールズといった新世代まで層も厚く、最近はアリル・ブリカやプリンス・トーマスなど意外な名前のリリースも……長期政権は続きそうだ。
(石田 靖博)