NEWS & COLUMN ニュース/記事

第143回 ─ M_NUS

連載
NEW OPUSコラム
公開
2007/05/17   23:00
ソース
『bounce』 286号(2007/4/25)
テキスト
文/石田 靖博

引いて引いて引きまくって、積み重ねた10年! リッチー・ホウティン帝国は凄いことに……!

 現在のクリック・ハウス景気を支える大黒柱的な存在、リッチー・ホウティンの率いるレーベルこそマイナスである。彼がそれまで拠点としていたプラス8とは別に、その名のとおり引き算的スカスカ系エクスペリメンタル・ミニマルをリリースするレーベルとして98年に設立されたマイナスは、リッチーの大傑作ミックスCD『DE9:Closer To The Edit』(2001年)の大ヒットでクリック界の盟主という地位を不動のものとする。その後はマシュー・ディア(ファルス名義)、マシュー・ジョンソン、ラン・ストップ・リストア(マグダ、マーク・ホール、ラウダーバッハことトロイ・ピアーズの3人組)、ハートスロブ、そしてリミックスではここ最近リッチーの盟友的な存在になっているリカルド・ヴィラロボスも参戦するという、異常に豪華&強力な布陣となっており、正直クリック・ハウス=マイナスという図式を描いてもまんざらウソではないほどなのだ。そのようにして活動から10年目を迎えるマイナスが、このたび日本向けにベスト・コンピ『Nothing Much』をリリースした! Disc-1は〈マイナスとは?〉という問いへの模範解答的な選曲で、リッチーのハード・ミニマル期最後の徒花的名曲“Minus Orange”から各界引っ張りだこのDJミンクス“A Walk In The Park”のヴィラロボス・ミックスまで収録。そしてDisc-2は、前出ラン・ストップ・リストアのトロイ・ピアーズがマイナスの現在を見せつける圧巻のDJミックス仕様。この内容は凄すぎです。クリック界においては、〈マイナス〉と書いて〈最強〉と読むのが世界的常識であることを宣言します(どこに?)!!